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【コロナ禍が助長するこころの病】失われた世代を冒す「パーソナリティ障害」 小田急線刺傷事件だけではない (1/2ページ)

 コロナ禍は、日本人のこころまで蝕(むしば)んでいます。緊急非常事態宣言下で、それまで抑圧されてきた犯罪行動を引き起こす事態が起きています。その典型例のひとつが、8月6日に起きた「小田急線刺傷事件」でしょう。

 乗客に次々と包丁で襲いかかった36歳の男は逃亡の揚げ句、コンビニで「ニュースに出ている事件の犯人です。逃げるのに疲れた」と名乗り出たという、あきれた犯行。乗客の20歳の女子大生が重傷を負ったほか、計10人がケガを負いました。その背後に日本社会が抱えてしまった抜きがたい病理があると思います。

 その病理とは、いわゆる「パーソナリティ障害」です。パーソナリティ障害は、単に性格が変わっている、歪(ゆが)んでいるというような問題ではありません。社会生活のストレスから精神障害を起こし、ものごとの認知能力、感情のコントロール、対人関係などに支障をきたすのです。コロナ禍との関係も捨てきれません。

 容疑者は、「幸せそうな女を見ると殺したかった」「勝ち組が憎かった」と供述したと言います。

 報道によると、中学・高校時代は、イケメンでモテモテ、大学時代までは「ナンパ師」を自称して、女子高生などに声をかけていたと言います。一方で、テニスサークルでの女性関係ではプライドをズタズタにされて中退したとも。自尊心が強すぎて傷つきやすく、それを回復できないまま生きてきたのでしょう。6年前に失恋し、さらに落ち込んでいたと言います。家宅捜索で押収されたと報じられたものの中には、「嗜好障害」と受け取れる物も。

 生活保護を受け、派遣労働もままならない状況であった36歳の男にとって、女性に対して勝てるのは、暴力以外にはなかったのでしょうか。

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