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【BOOK】天才画家の絵の奥に見えた「家族の物語」 「本来得意ではない“東京もの”での受賞は自信に」 第165回直木賞・澤田瞳子さん『星落ちて、なお』 (2/2ページ)

 --親しかった故・葉室麟さんと同じ賞

 「同じ賞は初ですね。いつも“タイトルが悪い、女性を描くことから逃げるな”と小言を言われていたので、“どや!”という感じです。葉室さんもきっとお好きな作品と思います。葉室さんを一緒に囲んでいた朝井まかてさん、東山彰良さんがすでに直木賞をご受賞なさって周回遅れだったのでやっと追いつけたかな」

 --今後は

 「本来得意ではなかった明治、東京ものの作品で受賞できたのはとても自信になりました。もう少し欲張りにおずおずと手を出して、離れたところを書いてもいいのかな。将来的には日本以外の土地も書きたいです。すぐには無理だけど、何かできるといいなと思います」

 ■澤田瞳子(さわだ・とうこ) 1977年9月14日、京都市生まれ。作家。同志社大学文学部卒業。同大学院博士課程前期修了。2010年、奈良時代を舞台にした『孤鷹の天』でデビュー。同作で中山義秀文学賞を最年少受賞。12年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞受賞。翌13年同作で新田次郎文学賞を受賞。16年、『若冲』で歴史時代作家クラブ賞作品賞と親鸞賞を受賞。同時に直木賞候補(初)。20年『駆け入りの寺』で舟橋聖一文学賞を受賞。他に『火定』『落花』『稚児桜』(以上3作直木賞候補)など。21年、第165回直木賞受賞。現在、同志社大学客員教授。

 ■『星落ちて、なお』 文藝春秋・1925円税込 

 画鬼と畏怖され門弟200人を超える明治の絵師・河鍋暁斎の娘、とよもまた「暁翠」の画号を持つ絵師だった。暁斎が亡くなり、一門を支える役割などが一気にとよの肩にのしかかる。とよには姉と兄、そして弟妹がいたが、上の2人はそれぞれ母が違うという複雑な家庭で、兄も養子に出され、実の弟も頼りにはならない。家庭的には四面楚歌の状況で、明治画壇と人生の荒波に立ち向かう一方、一女をもうけながら離婚を経て自立し、女流画壇に足跡を残したとよの数奇な人生を描く。(初出「別冊文藝春秋」2019年7月号~2021年1月号)

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