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【東京舞台さんぽ】「三角屋根」は今も住民の憩い 小説「謎解きはディナーのあとで」の舞台、学園都市・国立 (1/2ページ)

 東京都国立市のJR中央線国立駅南口を出ると、ロータリーの向こうに、桜やイチョウの木が立ち並ぶ、幅約44メートルの「大学通り」がまっすぐに延びている。文化の薫りが漂う、おしゃれな学園都市が広がる。

 作家、東川篤哉さんの小説「謎解きはディナーのあとで」は、舞台が国立市だ。富豪令嬢でもある国立署の新米刑事に仕える執事が、毒舌を吐きながら事件を解決していく。

 現実離れした設定だが、整然と区画され、落ち着いた街並みを歩くと、物語の中の豪邸があってもおかしくないと思った。同市は、文教地区として、住民らが中心となって積極的に景観を守ってきた歴史があるのだ。

 国立市は、小さな村が大学の移転をきっかけに発展した学園都市だ。大正末期、箱根土地株式会社(現プリンスホテル)と、東京商科大(現一橋大)が開発に着手した。

 駅前にある、国立のシンボルとして親しまれる「旧国立駅舎」へ。都市計画で街づくりの中心に位置付けられ、国分寺と立川の間に新たに設けられたのが国立駅だった。

 駅舎は2006年、中央線の高架化工事に伴い解体されたが、18年にほぼ同じ場所で再築工事が始まり、20年に開業した。赤い三角屋根や白い壁、ロマネスク風の半円アーチ窓がかわいらしい。解体を惜しむ多くの住民の声が上がったと市の担当者から聞き、街の歴史を大切にする住民の思いを感じた。今も待ち合わせや休憩場所に使われている。

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