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【BOOK】漢民族の価値観押しつける「侵略」を警戒せよ 覇権主義・侵略主義の阻止には民主化が必要 評論家・三浦小太郎さん『漢民族が支配する中国の本質』 (1/3ページ)

 中国の軍事的覇権拡大の脅威が迫る中、戦前日本のユニークな“チャイナ・ウオッチャー”であった長野朗を掘り下げた著作に耳目が集まっている。中国人と深く交流し、漢民族の本質を捉え、将来の中国の脅威を見据えていた。経済やサイバー空間など、あらゆる舞台が戦場になる中国の「超限戦」をはじめ、現代に通じる概念を提出し、警鐘を鳴らしていた。著者の三浦小太郎氏が語った。 文・海野慎介/写真・高橋朋彦

 --長野の著作は戦後、GHQに没収された経緯があるといいます。現在の中国の覇権拡大やウイグル、チベットへの弾圧も問題になる中、注目のきっかけは何ですか

 「中国の拡大や人権弾圧をみると、共産党独裁の問題なのか、漢民族の本質に侵略的要素があるのか、しばしば議論になります。長野の著作は評論家の西尾幹二氏や、宮崎正弘氏が取り上げてきましたが、ネットなどで通俗的に広まるにつれ、漢民族を『悪しき民族』と捉えた本と紹介されていました。『本当にそうなのか』冷静に読んでみようと思ったのです」

 --実際には、中国への愛情も感じられます

 「法律や政治がなくても生活できる民衆のムラ社会に前近代的な美しいアジアの風景、あるいは匪賊の世界にすら英雄主義的な愛情が感じられます。長野が権藤成卿らの運動に共鳴する原点のようにみえます。ただ、中国民衆の平和的世界には専制的権力とパラレル形でしか存在しえないという側面の存在を見逃していた気もしています」

 --長野の中国分析の方法は、ユニークです

 「宮崎滔天のような『日中連帯』ありきで辛亥革命の指導者を中心に親交を持つアジア主義者や、官僚的な情勢分析とも異なります。軍籍を離れ、中国民衆と30年以上にわたり、深く付き合い、ルポルタージュのような形式にみえます」

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