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【ここまで進んだ最新治療】「経カテーテル肺動脈弁システム」8月に承認 大がかりにならず逆流症手術が可能に 早期社会復帰も (1/2ページ)

 生まれつき見られる心臓の病気を総称して「先天性心疾患」と呼び、日本では出生児の100人に約1人に発生する。このうち乳幼児期に心臓と肺をつなぐ「右室流出路」の再建手術を受けた患者は、成人期を迎えてから代表的な術後続発症である「肺動脈弁逆流症」を発症しやすくなる。

 肺動脈弁逆流症は、心臓から肺動脈に送り出された血液の一部が心臓に逆流して、心臓に負担がかかる病気。血液逆流防止弁である肺動脈弁の機能低下で起こる。悪化すると心不全や不整脈などによって突然死リスクが高くなる。

 この先天性心疾患の術後に起こる肺動脈弁逆流症の治療に用いる「経カテーテル肺動脈弁システム(ハーモニー)」が、今年8月に承認された。来春以降から臨床に導入される見込みだ。どんなデバイスなのか。昭和大学病院/小児循環器・成人先天性心疾患センターの富田英教授が説明する。

 「従来は開胸して人工心肺を使って心臓を止め、肺動脈弁の代わりとなる生体弁に置き換える大がかりな外科手術しか治療手段がありませんでした。対してハーモニーは、太ももの静脈部分を小切開するだけのカテーテル治療になり、人工心肺も必要ありません。カテーテルの先端に折りたたまれた生体弁が付いていて、心臓の右室流出路に到達したら生体弁を開いて留置します」

 肺動脈弁逆流症(心臓の右側の疾患)は、心臓の働きが相当悪くなっても症状が出ない患者も多い。そのため精密検査で「放置すれば予後が悪化する」という基準に達した患者が治療の対象になる。しかし、症状が乏しいので、なかなか手術に踏み切れないうちに手術の適応外になってしまう患者が相当数いるとみられている。一方、カテーテル治療であれば患者の侵襲が少ないので、それだけ早期の治療に踏み切りやすいわけだ。

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