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【ドクター和のニッポン臨終図巻】作家、天台宗大僧正・瀬戸内寂聴 長寿の最大の鍵、不死鳥のような好奇心と行動力 (2/2ページ)

 しかしこの大病により、退院後4カ月寝たきりに。その翌年、朝日新聞の連載「寂聴 残された日々」で、僕が書いた『平穏死 10の条件』を読んだと書かれているのを見つけたときは、釈迦に説法とはまさにこのことだと、気恥ずかしくもなりました。しかしあの時、お会いしておくべきだったと後悔しています。

 90代の高齢者が大手術の後、4カ月も寝たきりになれば、再び歩けるようになるのは困難です。認知症も確実に進行します。しかし寂聴さんは、リハビリを頑張って再び歩き、執筆活動も精力的に再開。不死鳥としか言いようがありません。

 今、僕の手元に『寂聴 九十七歳の遺言』という本があります。どのページも目から鱗の言葉が並びますが、一番励まされたのは次の文章です。

 〈人間、何でもやってみないとわからない。やってみようかということは、何でもやってみたほうがいいのです。どうせこの世は一回しかないのですから。(中略)いくつから始めてもいい。「この年でいまさら」なんていわないでください。70歳からそれを始めて75歳でそれが花開くかもわからない。80歳でも90歳でも同じ〉

 人間、死ぬその日まで何かを始めることができる。長寿の最大の鍵は、好奇心と行動力だと寂聴さんが証明してくれました。

 ■長尾和宏(ながお.かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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