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【BOOK】最強兵器を作れば戦いは起きないのか 穴太衆と国友衆、戦国時代の矛盾 作家・今村翔吾さん『塞王の楯』 (2/3ページ)

 --彼らは「戦」を生業としながら泰平の世を願う。これまた「矛楯」

 「まさしくそこが本当に描きたかったことですね。彼らは、平和を望んでいるが、実際に戦がなくなれば仕事が無くなってしまう。人間ひとりひとりの矛楯、戦争産業に対する矛楯、人の世には矛楯があふれていますが、とりわけ戦争の中ではそれが顕著に見える、と思った。もっと言えば『なぜ人は争うのか?』を大きなテーマとして問い掛けたかったのです」

 --主人公・匡介のライバルである国友衆・彦九郎の持論は「最強の兵器」をつくれば戦いは起きない。核抑止論に似ている

 「この問題は、(唯一の被爆国である)日本人ほど考えねばならない民族はないと思います。戦後70年以上が過ぎて、どこか風化している感じがあるでしょう。それを歴史のどこかを切り取って考えてみたい、そう思いました。ただし、僕は、答えを出したいのではありませんし、答えが出る問題でもない。『考え続けてゆくこと』が大切だと思うのです」

 --今村さんの作品に通底するのは、民衆の側に立ち、弱者を救い、平和を望む…

 「僕としては『体制側』もしっかり描きたいと思っているのですが、どうも『民衆が挑む物語』の方が書きやすい。体制側が民を蹂躙するっていうのはね…」

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