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【BOOK】最強兵器を作れば戦いは起きないのか 穴太衆と国友衆、戦国時代の矛盾 作家・今村翔吾さん『塞王の楯』 (3/3ページ)

 --通説とは違う人物描写も魅力のひとつ

 「狙っているわけではありませんが、『悪役』のレッテルを貼られた人物には史実を掘り起こして弁護したくなってしまう。『こういう見方もできるじゃないか』って。そういう話は小説になりやすいのです」

 --歴史・時代小説に可能性を感じている

 「令和の時代の歴史・時代小説を書きたい。多様性や個の時代、ネット全盛の世の中にあてはまるような物語です」

 --熱血、人情の要素も忘れない

 「皆、心のどこかでそういうものを欲しているのではないでしょうか。ならば、僕は堂々とストレートで勝負する。“熱さ”がなくなってしまえば僕の作品ではなくなってしまいますから」

 --出版不況は大丈夫ですか

 「大丈夫じゃないかもしれません。でも、僕は本を読む文化はなくならないと思いたいし、(退潮傾向に)先頭に立って抗う1人でいたい、と思っています」

 ■『塞王の楯』(集英社2200円税込)

 戦国時代、近江の国に『穴太衆』という城造り・石垣作りのプロフェッショナル集団がいた。片や『国友衆』も同じ近江の鉄砲づくりの最強集団。1600年、関ケ原の戦いの前哨戦として、大津城で東西軍が対峙する。籠城する東軍の京極高次に付き添い、あの手この手で守る穴太衆の若きリーダー、匡介。攻める西軍の毛利元康、立花宗茂に新式鉄砲を授ける国友衆の彦九郎。互いの誇りと意地をかけた「矛」と「楯」の決戦が始まった。

 ■今村翔吾(いまむら・しょうご) 1984年、京都府出身。37歳。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員などを経て、2017年『火喰鳥』でメジャーデビュー。18年『童神』で角川春樹小説賞受賞。19年『童の神(童神を改題)』、20年『じんかん』でそれぞれ直木賞候補。主な作品に『羽州ぼろ鳶組シリーズ』『くらまし屋稼業シリーズ』など。

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