マルシア
ひとりじゃない幸せ(12/29)

【離婚の決断は正しかった…】
今年は、17歳でブラジルから来日して20年になる。その間、芸能人としてキャリアを積む一方、結婚、出産、そして離婚という人生の荒波も経験した。
「気づいたら、もうそんなに…という感じです。この1年を振り返ると、私にとっては仕事もプライベートも安定した年でした。そして、40代に入る自分をシミュレーションしながら、それへの一歩が踏み出せたかな、と思います」
前夫との離婚が取りざたされたのは、ちょうど3年前の12月…。
「常に、今がよければいいじゃないの、という考え方で来ました。あの時の“決断”も今振り返っても正しいし、(前夫との関係も)いい友達ができたかな、という感じですよ」
こうサラリと語れるのも、小学3年になる長女との暮らしが充実しているからのようだ。
「ええ。娘がいるから、“ひとりじゃない”って思える。あの子の寝顔を見て、一緒に笑える幸せを感じます」
【一般演劇にも意欲】
現在、2月18日初日(東京芸術劇場)のブロードウェーミュージカル「ブルックリン」の準備に余念がない。ニューヨークの街角を舞台に、ヒロインのブルックリンが成長する姿を描く。ブルックリンを元Do As Infinityボーカルの伴都美子が演じるのが話題だが、マルシアはそのライバル、パラダイスを演じる。
「ソウルやゴスペル、激しい音楽が入り交じる中で、大スターのプライドがある役柄なんです。その役作りをどうやろうか、と。出演者が5人と少ないので、ミスはできないですね(笑)」
今年4月には、昨年出演したミュージカル「ジキル&ハイド」のルーシー役が評価され、菊田一夫演劇賞を受賞。ミュージカル女優としても認められた。
「うーん、まだまだ女優と言われるのは、ね。もちろん、歌、ミュージカルにはこだわりは持っていますが、ストレートプレー(一般演劇)にも足を踏み入れたい」
彼女の豊かな表現力があれば、歌のない普通の芝居もOKだと思える。
「ありがとうございます。でもね、私にとっては、まだお芝居は大きな壁かしら。恐怖というか…。日本語での心理の表現がまだまだかな、と」
それを自覚してか、「娘の国語の教科書を読んだりして、私も勉強してるんです。算数と違って、国語は難しいね」と笑うが、「漢字の勉強もしてますよ。きれいな字を書くと精神が安定するからパソコンの時代でも文字を書きたいですね」と前向きだ。
【古風と優しさが】
日系三世の彼女の話す言葉は、時に古風に響く。
「わたくしが、古風? ふふふ、男の人にも一途だもの。束縛はしないけれど、何でもしてあげたいほうです。だから、男が自立できなくなっちゃうのかもね」
出演番組の収録が押して(延びて)、インタビューが終わったのは時計の針が零時を回るころだった。取材前には、少々緊張する記者に、疲れも見せず、「何時間でもお話ししますよ」と笑顔を向けてくれたのがうれしかった。
ペン・谷内誠
カメラ・大西史朗