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山口晃

細密に力強くユーモア描く(5/19)

 やまぐち・あきら 画家。1969年8月2日、東京生まれ、群馬育ちの37歳。県立桐生高校から多摩美大に進むが、東京芸大に入り直し、96年東京芸大大学院美術研究科修了。同大助手をへて、作家活動に入る。97年、「こたつ派」展で注目される。古今東西のさまざまな事象や風俗を同一画面に描く、細密な画風に特徴があり、百貨店やCDジャケットなど商業ベースでの活躍も目立つ。2001年、第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞受賞。著書に「山口晃作品集」(東京大学出版会)。画廊勤務の夫人と暮らす。
山口晃

【着物の町人の中にサラリーマン、武者がオートバイ】

 名前と顔を知らなくても、この人が描く独特の世界は一度見たら忘れられない。

 たとえば、公共広告機構のCM「江戸しぐさ」や日本橋三越を描いた「百貨店圖」、読売新聞でのドナルド・キーン氏連載「私と20世紀のクロニクル」の挿絵−などである。

 雲や霞を描き込んで立体感を持たせる古典的な大和絵の手法を踏襲した鳥瞰図には、細かな点にユーモアある遊びがあふれる。

 一つひとつをよく見ると、武士や着物姿の町人の中に現代のサラリーマンがおり、高層ビルが建ち並ぶ。合戦に向かう武者が乗る馬がタイヤのついたオートバイだったり、エアコンの室外機が日本家屋に張り付いていたりする。

 現代絵画の門外漢には、絵本の「ウォーリーをさがせ!」や70年代に活躍した少女漫画家、大矢ちきの漫画を見るような感じがした。

 子供のころから、「戦艦でも細かな所を描くし、家の中ならネズミまで描かないといられなかった。熱くなっちゃうんです。それが今につながっています」という。

 「どんな人にも食いついてもらえるモチーフなんでしょうね。バラエティーに富んだ鑑賞者層がいるのは願ってもないことですよ」と謙遜しながら、顔をほころばす。

 芸大時代から上野・池之端近くに住み続ける。現在のアトリエも、下町情緒が濃いアパートの1階部分を改造した所にある。

【「どんな人にも食いついてもらえる」】

 20日から上野の森美術館で、大学の先輩でもある会田誠との二人展(別項)が始まる。そこに展示される3.9メートル×3メートルの大作「文殊渡海図」に筆を走らせながら、「割と、だらりと生活しているほうですが、モチーフはパッと目に入ってきた物であることが多いですね。テレビや新聞の記事であったりしますが、向こうからやってくるんです」とこともなげにいう。

 日本の現代美術といえば、2003年に米オークション・サザビーズでやはり東京芸大出身の村上隆のフィギュアに50万ドルの値がつくなど、ちょっと上の世代には世界で注目される作家もいる。

 「美術界全体が商業ベースに乗ることを否定する歴史的な面はありますよね。芸術家は貧乏なまま死ぬ、みたいな。僕自身は絵描きは職人−本来お金で動くものだと考えています。ただ高望みはしないし、(商業的な評価は)ありがたいと思いつついろんな不満を持っていたい。それが推進力になりますから」

 しゃべり口は、やわらかだが、その言葉は画風と同様、細かく、そして強く人を引きつけて離さない。

【「アートで候。会田誠 山口晃展」上野の森5月20日から】

 東京・上野公園内の上野の森美術館(TEL03・3833・4191)で、5月20日から6月19日まで開催。会期中毎週金曜日にイベント。詳細はwww.ueno−mori.org

ペン・谷内誠
カメラ・宮川浩和