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【日野晃博】「身近にいる人を大切に」冒険に込める思い

2011.02.16


日野晃博【拡大】

 ニンテンドーDS用のゲーム「レイトン教授」シリーズは、全世界で1100万本以上も出荷したという。開発・発売元は福岡のゲームソフトメーカー「レベルファイブ」。その社長である日野さんのツイッターフォロワー数は約1万6000人。有名メーカーの社長ともなれば、ネット上での知り合いは瞬時にたくさんできる。いまは、そんな時代だ。

 「そういう時代だからこそ、身近にいる人を大切にしてあげてほしいな、と思うんですよね。寝る間も惜しむくらい仕事中毒のお前が言うな、って部下から言われることをもちろん承知のうえでね」

 同社の最新作「二ノ国(にのくに)漆黒の魔導士」(DS用)は、スタジオジブリとの共作。最愛の母を取り戻すために、主人公が現実と二重世界に位置する国(二ノ国)で魔法使いとなって冒険するというシリアスなストーリーだ。

 「このゲームは子供たちのよりよい成長を願って作りました。子供たちにとってお母さんは、いちばん身近で大切な関係ですよね。もし、お母さんがいなくなったら自分はどんな気持ちになるか、ということを子供たちに想像してもらえたらいいなと。想像することで、きっとお母さんとの接し方も変わっていくと思う。二ノ国が、大切な人を大切にする方法を考えるきっかけになってくれたらうれしいですね」

 ご自身は身近な人を大切にしてきましたか?

 「自分はおばあちゃん子だったので、身近な人といえば祖母ですけど、大切にできたと言い切ることは難しいですね。祖母は僕が成人するのを見届けて亡くなりました。いまならいっぱい孝行できたのかなと思います」

 

 でも、その言葉には天国のおばあちゃんも苦笑いするかもしれない。なにしろ今月26日には、約1年ぶりのレイトンシリーズの最新作「レイトン教授と奇跡の仮面」がニンテンドー3DSと同時に発売され、「孫」はさらに多忙になるからだ。

 「今回のレイトンはすごいですよ。まず、主題歌を松任谷由実さんが歌ってくださいました。僕が若いころ、デートで女の子と聞いた曲と言えば、ユーミンだった。歌詞でもレイトンの世界が楽しめる内容になっているので、多くの人に楽しんでいただけるのではないかと思います」

 ユーミンにゲームソフトの主題歌を歌ってもらうなんて、交渉が大変だったでしょう。

 「もちろん、大変でしたよ。でも、あの松任谷由実がゲームにかかわると発表したら、きっとみんなが驚いてくれるだろうなと思って。だから、本気で口説きに行きました」

 それはたしかにすごいですが、先日テレビ出演した際は、顔色が悪いと業界関係者やファンから不安の声が出ていました。仕事しすぎでは?

 「僕は忙しいことも楽しんでいます。僕を相手にしている周りの人たちは大変だろうなあと思うけど、僕はそういう状態も楽しんでます。たしかに、人間関係とか、会社をどう回していくかとか、いろいろ大変なこともあるけど、そういうこともみんな面白い」

 「僕はたくさんの人を驚かせるのが楽しくて仕方がないから、あんまり苦労とか感じないんです。そうやって日常を楽しく過ごしている空気感が、自分の作るゲームにある程度反映される。自分のそういう楽しい気持ちをたくさんの人とシェアできたらいいなと思っています」(ペン・石島照代 カメラ・大西史朗)

 ■ひの・あきひろ 1968年7月20日、福岡県生まれ、42歳。国民的RPG「ドラゴンクエストIII そして伝説へ」に感銘を受け、ゲームクリエイターを志す。のちに、ドラクエの生みの親である堀井雄二氏に開発を依頼され、「ドラクエVIII 空と海と大地と呪われし姫君」と「ドラクエXI 星空の守り人」を開発、夢をかなえた。

 高校卒業後、専門学校に入学し、プログラマーとしての腕を磨く。システムソフトを経て、リバーヒルソフトに入社。98年に当時のチームメンバーとともに独立し、福岡市にレベルファイブを設立。社名は最上級を意味する「五つ星」に由来する。「レイトン教授」「イナズマイレブン」シリーズで大ヒットを連発。下請けソフトメーカーだったレベルファイブを、世界的メーカーに育て上げた。

 

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