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【井ノ原快彦】僕は効率よく動きたい…だから「善人じゃないです」

2011.03.31

 3年ぶりの主演舞台「芝浦ブラウザー」の初日が迫るが「気負いやプレッシャー、緊張感はありません。そういったものを超えたところで、何かを生み出さなくてはいけない」と言い切る。

 温厚そうな“いのっち”から、そこまで力強い言葉が出てくるとは意外だった。でも、これが当たり前。というのも、舞台が彼の芸能人生のスタートだから。

 「初の主演舞台のとき、会社から、お客さんが入らなかったら、僕のせいになると言われた。いまでは当然だと思うし、そうならないために努力しつつ、責任を取る覚悟もできている。でも当時は、それがすべてプレッシャーになってしまった。何もできていないのに稽古場の壁がシャッターみたいにガーッと開き、いきなり本番スタート。しかも、お客さんは数人…といった夢を何度も見るほどでした」

 だが、もうそんなプレッシャーはない。V6の全国ツアーでも、何万人ものファンを相手にしている。

 「1万人が一斉に野次を飛ばしたところで、声の塊になるだけで、何を言っているのか、よくわからないでしょ? 応援してくれているんだ、と思えてしまう。それよりも、5人、10人の会議で話すほうが緊張する。みんなが反応するし、反論もするから、どうしたものかと…」

 会議とは、キャスターを務めるNHK「あさイチ」の打ち合わせのことか。番組で見せる笑顔から、“いのっち=善人”の方程式は揺るがないと思っていたが「そうでもないですよ」と、あっさり否定したので、俄然興味がわいてきた。

 「相談に乗ってと言われることが多いんですが、本当に困っているなら真剣に相談に乗るし、話を聞いてほしいなら聞きもする。でも、その人も自分も、それどころじゃないと思ったら、『目の前にあることをやろうぜ』ときちんと言います。その態度は、冷たく映るかもしれませんね」

 それも理由があってのこと。「僕は、効率よく動きたい人なんですよ。だから、何でも、誰に対してでも、『どうしたの?』っていうのは、本当に無駄だと思う。それよりは家に帰りたいかな」

 「効率よく動く」のに、「あさイチ」出演は大いに役立っている。

 「生まれて初めてサラリーマンのような生活をして、規則正しくなりました。早く寝るためにメールチェックはしないし、ついダラダラと見てしまうインターネットもやらない。金曜日だからとハメを外すと、土日がうまく使えず、月曜日に響くため、何がなんでも土日は早く起きる。そう心がけた結果、時間が増え、ひとつの物事を深くできるようになりました」

 朝の情報番組のキャスターという仕事が、確実に自分を変えたという。

 「すごいスピードで時代は変わる。求められたときに求められたものを発揮でき、1%の可能性でもやらせてみたいと思わせる人間になれるよう、いまはいろんなことをやるだけ。となると、時間は限られているから、やはり効率ですよね」

 そんななかでの、今回の舞台。近未来の不動産屋役を演じるが、実際、自身も10回近く引っ越しているベテラン。稽古では、共演者全員でいろいろな間取り図を見ているという。

 「僕の引っ越し法は、まず間取り図を5枚くらいコピーし、1枚は何も書かない用、1枚は家具用といった感じで役割分担をさせ、家具の配置や色などをコーディネートしていく。このソファはこのスペースに入るだろうか、とか考えていると、ワクワクして眠れなくなるんですよ」

 失敗もある。

 「犬を飼うことになって、当初の予定より手狭になってしまったんです。結果、たった8カ月で、また引っ越し」

 効率よい仕事を目指す一方で、こんな回り道もしながら人生を楽しんでいる。(ペン・安保有希子 カメラ・三尾郁恵)

 ■いのはら・よしひこ 1976年5月17日、東京都生まれ、34歳。小学生のときにジャニーズ事務所に入り、91年の舞台「PLAYZONE ’91 SHOCK」で活動を開始。95年のシングル「MUSIC FOR THE PEOPLE」でV6のメンバーとしてデビュー。ドラマ、映画、バラエティーと活躍の幅を広げ、2010年3月29日にスタートしたNHK朝の情報番組「あさイチ」ではキャスターに。3年ぶりの主演舞台「芝浦ブラウザー」は4月2日から19日まで、東京グローブ座で。大阪ではシアター・ドラマシティで22日から24日。

 

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