「デビューして18年です」
そのルックスからすぐ連想はできないが、かなりキャリアを積んできた。映画出演も多いが、こんどの出演作「そこのみにて光輝く」(19日公開)は、大げさではなく、後に女優人生を変えたと特筆されるものになるだろう。本作品はモントリオール世界映画祭に出品される。
ふだんの清楚な素顔からは想像がつかないが、劇中では「私、稼がなくてはならないの!」と言い放ち、体を売って家族の生活を支えるヒロイン、千夏を演じている。
北の町に住む2人の男(綾野剛、菅田将暉)。そのひとりの姉で、中年男と不倫関係を続ける、いわば汚れ役だ。デビュー当時に多かった優等生的な役ではない。
原作は1980年代に芥川賞候補として5回も名が挙がりながら、90年に41歳で自殺した不遇の作家、佐藤泰志氏が唯一残した長編小説。「海炭市(かいたんし)叙景」も2010年に映画化されるなど、再び注目を集めている。
「原作と映画は別物なので読んでいません。『舟を編む』(三浦しをん作)も『爆心 長崎の空』(青来有一作)も…」
彼女はそう話す。原作のイメージにとらわれることなく演じたい、という思いか。
「そこのみにて光輝く」のロケは、佐藤氏の出身地である北海道・函館で行われた。