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【桂文枝】次代捜索 「創作落語300作」に挑戦中

2014.08.07


桂文枝【拡大】

 落語界の大名跡「六代桂文枝」に公益社団法人上方落語協会の会長、超長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」の名物司会者。数々の肩書が芸能界で果たしてきた功績の大きさを物語る。

 明石家さんまやダウンタウンの松本人志らのトークでは「後輩に厳しい師匠」として度々登場するが、取材では否が応にも緊張する記者を柔和な笑顔で出迎えた。

 取材冒頭の写真撮影では、カメラマンに一世を風靡したギャグ「いらっしゃ〜い」を惜しげもなく披露。“若大将”加山雄三や映画「007」のジェームズ・ボンドも顔負けの決めポーズを連発した。

 「最近は後輩にそう厳しくしていないんです。昔は言うこと聞かん人が多かった。さんまは飛行機の中でも大声でしゃべるわ、打ち合わせした段取りと全然違うことやるわで『社会人としてちゃんとせなあかん』とよう叱った」と笑う。

 「でも、彼はそういう性格やから、おもしろいんやと思います。今の若手は優秀なええ子が多い。『それはちゃうやろ』とか『何とかしたろ』という気概で無茶をしてほしい。もっと厳しくなりたいんです」

 2006年に完成した上方落語界悲願の定席「天満天神繁昌亭」設立に尽力したのも、落語の将来を思ってのことだった。若手たちの活躍の場となる第二の繁昌亭計画も構想中という。

 「ある病院で担当してくれた明るい看護師の女性がお笑い好きな方でした。お気に入りの漫才師のライブは職場の飲み会を断ってでも見に行くらしい。そこで『落語も見にきてよ』といったら『どこでやってんのか、わかりません』といわれた。これではいかんなぁと思いました」

 繁昌亭の客足は開場以来、順調だが「お客さまに『(笑福亭)鶴瓶さんや(桂)文珍さんが出るから行こう』と思われるのではだめ。若手が盛り上げて『繁昌亭やから見に行こう』と思っていただかないと」と表情を引き締める。

 落語界のために身を粉にしながらも、六代桂文枝としての芸の追究は怠らない。「創作落語300作」への挑戦もその一つだ。

 創作にこだわる理由を「古典はどんどん時代と離れていく。『長屋』や『侍』も今はない。次の時代にもしゃべれるような作品を残していかんと、落語は衰退してしまいます」と語る。

 これまでに220作品以上を生み、近年は毎月1作という驚愕のペースで新作を発表。喜寿までの目標達成を目指す。

 数々のネタの源泉は、市井の人々を見つめる観察力だ。作中では隣のオッチャンのような、おかしくも愛すべき人たちが生き生きと語り出す。新作『喫茶店の片隅で』の登場人物は、散歩中に立ち寄った喫茶店の客がモデルとなった。

 「この店には毎朝モーニングを食べに来てはしゃべり倒す、レギュラーメンバーのオバチャンたちがいましてね。『モーニング娘』と名付けさせてもらいました」

 次々と生みだす作品も何度となく稽古を繰り返し、舞台を重ねるごとに練り上げていく。その熱意の裏には、桂枝雀さんが遺した言葉がある。

 「枝雀師匠は『落語家は羊飼いや。羊(作品)は毎日世話せんと群れから離れてしまう。離れた羊を元に戻すのは大変やで』とおっしゃった。しょっちゅうネタを繰ってないと、リズムがつかめなくなる。1日あと10時間は欲しいですわ」

 約1時間のインタビュー終了時には、取材冒頭の撮影でノリノリのポーズを連発したにもかかわらず、機材を片付け始めたカメラマンに向かい物足りな気に一言。

 「撮影はもう、よろしいんですか?」

 取材にも落語さながらのオチをつけて笑いを生むサービス精神に、頭の下がる思いがした。(ペン・山本考志 カメラ・安元雄太)

 ■かつら・ぶんし 落語家。1943年7月16日、堺市出身。71歳。桂三枝としてデビュー。71年にスタートした大阪・朝日放送制作のテレビ番組「新婚さんいらっしゃい!」の司会を40年以上続けている。2012年に江戸時代から受け継がれてきた落語の名跡「六代桂文枝」を襲名。20日午後6時半から、大阪・天神橋2丁目の天満天神繁昌亭で「第86回創作落語の会」を開催。新たな創作落語を発表する。問い合わせはチケットよしもと((電)0570・550・100)。

 

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