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【石坂浩二】名優の引き出しは果てしない趣味の広がりの中に

2014.08.08


石坂浩二【拡大】

 芸能界きっての趣味人である。

 そして、昨今はプラモデルについての話題が目立つ。賞金総額50万円を自腹で出すプラモデルのコンテスト「ろうがんず杯」をこの秋に開催することを発表。注目を集めている。

 「このコンテストを通じて、プラモデルに再び注目して欲しいと思ったんです」

 「ろうがんず」とは自ら主宰するプラモデルサークルのこと。会員20人。平均年齢60歳。文字通り、老眼世代が集まり、今年で創立5年を迎えた。元機長、元家電メーカー勤務、マスコミ関係者など現役時代の職業はさまざまだ。

 もともと絵画の腕前でも、よく知られている。二科展で10年以上連続入選。地元の横浜では絵画教室を開いている。

 「地元が新しい区になって10周年のときに講演を頼まれたけど、じゃあ絵画教室を、と1年だけやるつもりが、もう10年になりました」

 その間にプラモサークルも結成したわけで、実に精力的である。

 だが巷間、同世代の男性で「趣味は?」と問われて、即答できる人は意外と少ない。

 「たしかに日本人ってあまり趣味を持とうとしませんよね。実は、私の父もそうでした。父が何か趣味を持っていてくれたら、子供のころの私はもう少し楽だったんですけど(笑)。小さいときに周りにいろんな趣味を持っている友人が現れて、それで趣味が増えていったんです。今でも続いているのは、プラモデル、クラシック音楽と絵ぐらい…あとは、数学」

 数学までとは驚きだ。それにしても、忙しい日々の中でどのように時間を作っているのだろう。

 「時間を作っているというわけじゃないですけど、プラモデルに色を塗って乾くのを待つ間に、他の趣味をやってみるとか、自然にやってます」

 好んで作るのは、飛行機のプラモデルで、とりわけ第2次大戦中のドイツ機が多く、最近はイギリス機も手がける。スケールは1/48が中心で、製作期間はだいたい1カ月程度。自宅には模型専用の製作スペースもある。

 「がんばって家に趣味のスペースを作ってみてはどうでしょう。一つだけじゃなくて、趣味が複数あると広がって楽しいですよ、しかもリンクしたりしますから」

 達人の教えは、定年退職後に趣味を求める人にも大いに参考になる。

 「定年で、それまでの人と人の付き合いが崩れてしまう。次にそうした付き合いを持ちたいと思ったときに、一番役立つのが趣味なんです。だんだん年を取れば、本来は誰かと話すことが楽しいはずなんですよ。日頃は通じない専門用語でも仲間となら通じ合ったり、毎回、毎回会っても飽きない仲、友達みたいになるわけです。もちろん、趣味は1人でやるものっていう考えも当然あるでしょう。イギリス人はプラモデルを作るのに全く1人でやっていますよね。あの人たちは孤独に強いのかな」

 若い世代は、インターネットで人とつながった気になっている。

 「つながりやすいけど、刹那的につながっても最終的には面白くないと思います。もし、絵画鑑賞が好きなら、自分で描いてみると美術館に行ったときに画家がこうやったのか、と面白みが増えてきて、単に作品を眺めているだけじゃなくなります。映画好きが集まれば映画を製作してもいいでしょう。プラモデルだと色の話、形状の話、開発の歴史の話もできる。話題が非常に幅広いので、プラモデルは楽しみが一番大きいと思いますよ」

 仕事が趣味に救われることもあるという。

 「ほとんどの仕事は、ある程度、歯車の一部ですよね。役者でもときどきうまくいかないことがある。そういうときは、プラモでも絵でも作ったり描いたりするといい。そのときは、誰に何を言われるわけじゃないですし、完成すると、その達成感に救われますよ」

 仕事とは別の達成感を探す大切さを説く。

 「山登りなら何回登ったとか、スポーツで結果を出す達成感もあれば、数字にならない非常に個人的な達成感もあります。でも、そこに友だちがいればいい。だから、人と人とのつながりで人生を豊かにする手段のための趣味でもいいんです。そのうち、多趣味の人間同士が集まる会というのもできたりしてね」

 名優の引き出しは、果てしない趣味の広がりの中にあった。 (ペン・竹縄昌 カメラ・大山実)

 ■いしざか・こうじ 俳優。1941年6月20日生まれ。73歳。東京都出身 慶応大学法学部卒業。劇団四季を経て俳優に。「ウルトラQ」(66年)のナレーションは今もファンの間で有名だ。NHK大河ドラマ「天と地と」(69年)の主役の上杉謙信を演じ、続いて石井ふく子プロデュースのホームドラマ「ありがとうシリーズ」(70〜75年)で、茶の間の人気を不動のものに。プラモデルの趣味は、その頃から有名だ。

 2009年に「ろうがんず」を結成。毎年12月には以前館長も務めた「横浜人形の家」で、「ろうがんず」定例展も開催する。プラモコンテストの「ろうがんず杯」は10月に行われ、大賞30万円など賞金総額50万円。詳細はHP(http://www.rowguanes.co.jp)で。

 

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