NHKの看板報道番組『ニュースウオッチ9』のキャスターを約4年間務めた正統派アナウンサー。そんなイメージががらりと変わるかもしれない。
「報道番組では、色をつけないようにカメラに向かって、できるだけ静止して話していました。ニュースを伝えるには『どんなことをしちゃいけないか』という発想。でも今は音声、表情、動き、全ての表現が内容と伴い、私が邪魔することなく、人の心に感動などを届けられる表現者になりたい」
22日からリニューアルスタートする歴史情報番組『歴史秘話ヒストリア』の案内役として渡邊あゆみアナウンサーからバトンを受けた決意を語るが、壁にもぶつかった。
「みなさんが、わくわくするような話し方や動き、人の生死がかかわる場面のナレーションでの声のトーン…。内容によって違う表現を求められる難しさに直面し、大先輩の存在の大きさを感じる日々です」
幼いころは「人前に出るのが苦手」「写真も真顔ばかり」だった少女が今の仕事に就くきっかけは、高校時代。毎朝見ていた報道番組『おはよう日本』でキャスターを務めた武内陶子アナウンサーだった。
「武内先輩の明るさが、大学受験で不安な気分を『きょう一日、がんばってみよう』という気持ちにしてくれた。きちんとニュースを伝えるだけではなく、プラスアルファの何かができる仕事と憧れ、縁あってNHKに入れました。それぞれの暮らしがあるなか、ニュースを見てホッとできる瞬間が少しでもあれば、いいなと思ったのが、私の原点です」