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「在宅療養」見据えて必ず前準備を

 筆者は先日、在宅医療に取り組む医師の話を聞いた。「介護はある日突然始まる」とこれまで何度もこの連載で書いてきたが、まさにそうした例を多く見てきた医師だからこその話に、わが意を得たりという思いだった。

 その医師はまず、親が入院したら子世代は「疾患モデル」と「生活モデル」という2つの視点を持ってほしいという。

 病院の医師は病気を治すのが仕事で、それは「疾患モデル」だ。一方、親は入院によって身体機能が低下しているため、退院するときにすべての問題が解決しているわけではない。そこで、親が退院後、どんな生活になるのかという「生活モデル」を意識して、入院中から家族が準備しておく必要があるというのだ。

 そのため、担当医には親がこれまで通りの生活に戻れるのか、介護が必要な生活になるのかを確認し、退院後の生活のイメージを持っておきたい。

 また、早いうちに病院に常駐するソーシャルワーカーに相談することが大事だ、とも教えてくれた。

 近年、入院日数は短縮する傾向にある。そのため、退院が決まって慌てて動いても間に合わないことがある。注意が必要だ。

 退院後、自宅で療養することになった場合は、訪問介護サービスなどを受けて生活をしながら、医療面では訪問看護や訪問診療を受けることになる。かかりつけ医が訪問診療を行っていればお願いできるが、そうでない場合、訪問医を誰にお願いするかが問題になる。

 そういうときは、入院先のソーシャルワーカー、あるいはケアマネジャーに相談して、紹介してもらうのがよいという。

 インターネットからはいくらでも情報が得られる便利な時代だが、ウェブサイトや書籍などからだけでは、在宅医療に取り組む姿勢はわからない。相談できる「入り口」を持てるかどうかが、その後の療養生活を決めるという話には大いに納得できた。

 ある日突然介護が必要になる、という可能性は誰の親にでもある。元気なうちに、介護が必要になったときのことを親と話をしておくこと、情報収集をしておくことが、介護離職を防ぐカギとなることは間違いない。

 ■大澤尚宏(おおさわ・たかひろ) オヤノコトネット(www.oyanokoto.net)代表取締役。1995年に日本初の本格的バリアフリー生活情報誌を創刊。2008年、「そろそろ親のこと」をキーワードにオヤノコトネットを創業し、「高齢期の親と家族」に関わるセミナー講師や企業のマーケティングアドバイザーとして活躍している。近著は『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)。

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