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ターゲットを“酒を楽しむ人”に絞る 国分グループ本社「K&K 缶つま」

 2010年発売、酒のつまみに特化した国分グループ本社(東京都中央区)の缶詰シリーズ「K&K 缶つま」。食材にこだわり、1缶500円前後の高級路線ながら約30億円(小売り金額ベース)を売り上げ、おつまみ缶詰という新たなカテゴリーを創出した。

 缶つまが生まれる以前の缶詰市場は、1980年の約95万トンの生産量をピークに約23万トン(11年)に落ち込んでいた。円高で輸出が減り、国内ではレトルト食品や冷凍食品に押されていた。

 缶つまが誕生したきっかけについて、マーケティング統括部マーケティング開発部開発一課主任MD、森寛規(ひろき)氏は次のように語る。

 「当時、缶詰は1缶100円前後の安売り競争にさらされていました。そうした安売りの市場から脱却したかった。そんなとき、缶詰がおつまみとして使用されていることを知りました。09年には世界文化社から『うまカンタン! 缶詰で作る酒のおつまみ 缶つま』という書籍も発売され、それにも触発されました」

 リーマン・ショック以降の09年ごろから起きた家飲みブームが背中を押した。しかし、同社にはおつまみに特化した商品開発の経験がなかったため、人が酒を家で飲むときはどういう嗜好なのか、おつまみとは何か、調査を繰り返した。そうした中で、居酒屋飲みより安く、しかしプチ贅沢感がある「こだわり食材」という具体的な方向性が見えてきた。

 缶つまは「広島県産 かき燻製油漬け」「厚切りベーコンのハニーマスタード味」「鹿児島県産 赤鶏さつま炭火焼」など現在約80種類。従来の缶詰にない新しい食材や、国産のこだわりの食材を使っている。

 ヒットのきっかけは新たな販路を作り、酒売り場に置いたことだ。「おつまみ」としたことで扱いが変わった。「缶つまの価格は1缶500円前後、中には2000円という価格設定もある。100円の価格帯が多い缶詰売り場に並べても売れない。しかし、酒のつまみならお手頃感がある」

 ターゲットを“酒を楽しむ人”に絞ったことで、従来の缶詰とは違う商品、売り方、販売チャンネルをも作り出したのだ。これが単なる缶詰の高級品化との違いだった。

 18年8月、「肴で、酒はうまくなる」をブランドステートメントに、全面リニューアル。これまでもこだわってきた原料をさらに厳選、燻製時間を長くするなど製法や味付けを工夫した。パッケージには素材を表記し、どの酒に合うか5段階で表示した。

 「缶詰でできることはまだまだいっぱいある。缶詰ではなく、缶つまというブランドをさらに広げていきたい」と森氏は言う。(村上信夫)

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