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テキシア詐欺からみる…「月3%」「年3%」2種類の“怪しい”金融商品

 投資会社のテキシアジャパンホールディングスの詐欺事件で、実質的な経営者だった銅子正人容疑者らが逮捕された。同社は毎月3%の配当があると称して約460億円もの資金を集めた。

 毎月3%は単利計算でも年利36%になる。ほぼゼロ金利でゼロ・インフレの日本ではどう考えても不可能な利回りだ。仮に1万回に1回それが可能だとしても、貴重な機会を他人に提供すること自体がおかしいと思うのが普通の経済常識だ。

 もっとも、詐欺の被害を後から見て「あれはばかだ。なぜだまされたのだろう」と言うのは簡単だが、銅子容疑者の手口は、悪い意味なのだが良く考えられたものだった。

 資金の循環は、先に集めた資金に対して、後から集まった資金から配当を続けながら、配当を信じさせて、さらに資金を集めるという構造のもので、無理な配当を出して資金を集める詐欺の基本形そのものだ。ネズミ講、マルチ商法と同じ構造だ。

 テキシアは資金の出資者に資金の勧誘実績に応じて「ディレクター」、「マネジャー」などの階層を設けていた。階層アップを目指す人々は、自分が配当を手にして仕組みに対する信頼を増しながら競争意識を持って新規の顧客を勧誘することになる。

 銅子容疑者は、悩みを持つ人を集めて相談に応じて、数十万円単位の現金を配るなど、「カリスマ」かつ「いい人」を効果的に演じた。シンガポール在住で1000億円の資産を持っていて、日本を豊かにする志を持っているのだというストーリーも巧みだった。

 「毎月3%」と聞いただけで「これは怪しい」と思える経済リテラシーのない人々には大いに受けそうな、悪人ながら巧みなマーケティングだ。人は感情の動物であり、信じたいと思うものを信じやすく、一度信じてしまうと信じたものを正当化したいと努力する。彼はこの心理に付け込んだ。

 一方、世間を見渡すと、「毎月3%」ではなく、「毎年3%」レベルの「マイルドな詐欺」とも言うべき金融商品に引っ掛かっている人が少なくない。

 お金のある高齢者向けに「資産寿命を伸ばす」「年金が支給されない奇数月に分配します」「自分で作る年金」などと言ってセールスされている商品が多い。

 あたかも安定的に運用できるかのように装っているが、手取りで年率3%のリターンは簡単ではない。税引き後で3%であるためには、3・75%のリターンが必要であり、運用報酬が1%あると運用には4・75%のリターンが必要だ。機関投資家の株式に対する想定利回りは年率5%程度であり、株式を95%持たなければ4・75%は達成できない。とても安定的とはいえない。

 この種の商品を信じている人は、テキシアの詐欺被害者を笑えない。(経済評論家・山崎元)

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