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同業他社への転職を禁ずる誓約書 「職業選択の自由」に反するのでは?

 【Q】 転職が決まったので現在勤務している会社に退職を申し出たところ、同業他社への転職を禁ずる誓約書への署名を求められました。就業規則にも退職後1年は同業他社への転職を禁ずると書かれているのですが、これは「職業選択の自由」に反するのではないかと思います。署名しなければいけないのでしょうか?(20代女性、サービス業)

 【A】 労働契約上、労働者が使用者と競合する企業へ就職することや、自ら事業を営まないことを特約する「競業避止義務」を負わせる場合があります。相談者の場合は、在職中の事案ではなく退職後のことなので、「職業選択の自由」の観点から、原則として競業避止義務を負うことはありません。

 ただし、事前に特約などにより競業避止義務に関する取り決めがなされている場合、有効となる場合がありますので、誓約書には安易に署名すべきではありません。

 特約などの有効性は、競業行為を禁止する目的・必要性、退職前の労働者の地位や業務内容、競業が禁止される業務の範囲、期間、地域、代償措置の有無など総合的な考慮のうえで判断されます。

 裁判例でも「労働者の自由意思にもとづくものか否か」「必要かつ合理的な範囲か」など総合的な考慮の結果、その特約自体が公序良俗違反として無効とされたケースや、特段保持する秘密もない一般の従業員にまで幅広く義務を負わせることも認められないと判断されています。

 就業規則で、競業避止違反があった場合の退職金の不支給や減額を定めるケースも見受けられますが、退職金には労働の対償としての性質もあります。規程の存在だけが形式的に当てはめられるわけではなく、前述の事情が十分に踏まえられなければなりません。

 就業規則や退職金規程を確認しながら、会社とよく相談することが必要です。詳しくは都道府県労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどでも相談できます。

 なお、前の会社での営業情報を用いたり、信用をおとしめるような不当な営業活動をするなど、競業行為が悪質なものである場合には、特約がなくても、競業の差し止めが認められたり、損害賠償責任が発生する可能性がありますので注意が必要です。

 労働のことで困ったら「連合なんでも労働相談ダイヤル」(フリーダイヤル0120・154・052)まで、お電話ください。(連合企画局・小林司)

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