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「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は孫正義氏の“打ち出の小づち”!?

 ソフトバンクグループ(SBG)が東京国税局の指摘を受け、2018年3月期の所得約4000億円を修正申告した。申告漏れの金額としては過去最高とみられる。

 16年に約3兆3000億円で買収した英国の半導体開発大手「アーム・ホールディングス」の株を、SBG傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)に移した。その際、株の取得価格と時価評価額の差額などで生じた約2兆円余りの損失を18年3月期に計上したが、国税局は19年3月期に計上すべきと指摘した。

 3兆3000億円というのは、日本の企業の買収案件として過去最大。中国最大のIT企業「アリババ」などの株式の一部売却により資金を調達した。アームの技術は、スマホ搭載のプロセッサーやソフトウエアなどに活用されている。

 SBGがアームを買収したとき、当時、社外取締役だった日本電産の永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)は、「ソフトバンクの孫正義会長兼社長は30~50年先を見て買収したが、技術革新のスピードは速いので、私にはそんな勇気はない。私なら3300億円でも買わないでしょうね」と語ったのは有名な話。

 ソフトバンクの株主からすれば、「3兆も出して買ったものを1兆円で譲って2兆円のロスを出した。はじめから1兆円でよかったんじゃないか」という話になってくる。要は3兆円というのは間尺に合わないのではないか、ということ。

 SBGが抱えた2兆円のロスは欠損金としてキャリーオーバー(繰り越し)できるが、そんな税務上の話よりも、アームを破格の値段で買ったことがバレてしまったわけだ。

 SVFというのは、サウジアラビアなどと17年に発足させた10兆円規模のハイテク投資ファンド。今年5月の時点で約80社に投資している。出資または買収した企業には、半導体メーカー「エヌビディア」や起業家のためのワークスペースを提供する「ウィーワーク」などの将来大化けしそうなところも挙がっている。

 このSVFが約7%出資する米国のビジネス対話アプリの「スラック・テクノロジーズ」が20日、ニューヨーク証券取引所に上場した。初値は38ドル50セントで、NY証取が事前に示した参考価格の26ドルを大きく上回る水準。終値の38ドル62セントで換算した時価総額は約195億ドル(約2兆円)と、今年の上場ではウーバーテクノロジーズに次ぐ2位の規模になった。SVFはウーバーの筆頭株主でもある。

 計算上、スラック株を売却するとSVFに1400億円がキャッシュとして入ってくることになる。

 19日のSBG定時株主総会で、孫さんは「SVFの社員数が400人を超え、近いうちに1000人に達する見通しだ」と述べた。さらに、第2のSVF設立に向けて投資家と条件交渉に入るという。

 ついでに、孫さんは「69歳で次の経営陣にバトンを渡す」と述べ、あと8年はやることを宣言していた。これだけ風呂敷を広げてしまえば、まだまだ第一線から退けない、ということなのだろう。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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