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コロナ特需のドラッグストア業界 ウエルシア首位奪還の秘策 (2/2ページ)

 ◆ウエルシアは「コンビニ+激安スーパー」

 創業者の鈴木孝之の死去を受けて、ウエルシアHD会長には池野隆光が就いた。鈴木の会社に吸収合併された池野ドラッグの創業者だ。

 「ドラッグストアは各社同質化している」。こう危機感を抱いた池野は、ドラッグストアのコンビニ化と激安スーパー化に取り組んだ。

 ウエルシアは店舗によって入口付近に作り立ての弁当が並んだり、総菜やコンビニの定番である淹れ立てコーヒーも販売したりしている。公共料金が支払えるし、銀行のATMも完備している。都心では24時間営業の店もある。ドラッグストアというより、大型のコンビニエンスストアそのものなのだ。

 セブン-イレブンなどコンビニ専業との最大の違いは、「薬」という大きな文字の看板を掲げていることだ。市販の大衆薬だけでなく病院の処方箋も受け付ける調剤併設薬局がウエルシアの原点である。

 加えて、ナショナルブランド商品を低価格で販売しているのも特徴だ。サントリーや日本コカ・コーラ、伊藤園などのペットボトル飲料は、スーパーでは100円以下で買うのは難しいが、ウエルシアは税抜き78~98円など100円以下でバンバン売っている。

 ドラッグストアは、トイレットへ-パー、ティッシュペーパーなど日用雑貨を安値販売することで客を集め、医薬品や化粧品など利幅の大きい商品で稼ぐ手法で高い成長を謳歌してきた。ウエルシアは食品を低価格で販売することで、コンビニやスーパーから顧客を奪い取ってきた。

 ◆ライバルはセブン-イレブン

 ウエルシアHD会長の池野隆光は、テレビ東京の『カンブリア宮殿』(2018年5月31日放送)に出演し、「ライバルはマツキヨではない、セブン-イレブンだ」と言い切った。ウエルシアがマツキヨを追い落としとて首位に立ち、怒涛の快進撃を続けていた時期に、こう大見得を切った。

 ところが、今回、マツキヨにトップの座を明け渡すことになる。

 果たしてウエルシアに首位奪還の秘策はあるのか。キーワードは「ウエルシアモデル」と呼ばれるM&A戦略だ。業界他社にM&Aを仕掛け、買収先の店舗をウエルシア化する。午後8~9時が多かった閉店時間を深夜0時まで延ばし、割安な食料品などの品揃えを増やす。コンビニのように利便性を高めて売り上げを伸ばすわけだ。そして、利益率が高い調剤部門を併設して一人勝ちを狙う。これがウエルシアの勝ちパターンである。

 ◆ウエルシア、ツルハ経営統合の可能性

 首位奪還の決め手は、ドラッグストア連合であるハピコムに加わる企業との経営統合だ。現在、ハピコムは21社、全国5000店のドラッグストア・調剤薬局で構成される、国内最大級のグループである。業界1位のウエルシアと2位のツルハがハピコムの二枚看板だ。

 イオンはツルハと関係が最も古く、1995年にジャスコ(現・イオン)とツルハ(現・ツルハHD)が資本・業務提携した。ウエルシアはイオンが50.54%(2019年8月末時点)の株式を保有する連結子会社。ツルハはイオンが12.82%(同年5月末時点)を保有する筆頭株主である。

 そこで、「ウエルシアとツルハの経営統合の仲立ちを岡田さんがするのではないか」との観測が業界を駆け巡っている。両社が統合すれば、売上高1兆6700億円、店舗数4100店。マツキヨ・ココカラ連合に圧倒的な差をつけることができる。

 ウエルシアHD社長の松本忠久は、専門誌『販売革新』(2020年2月号)で「イオンと資本関係があるツルハHDやハピコムに加盟しているクスリのアオキHDと統合する可能性」について問われ、

 〈皆さんそう言われますが、私たちは気配も感じていません。多分ないと思います〉

 と語っている。フェイクかそれとも本音か、ウエルシアは柿が熟して落ちるのを待つ作戦ではないかと筆者はみている。

 いずれドラッグストア業界も、コンビニと同じで3強の時代がやってくる。1つは医薬特化型のウエルシア。2つ目は化粧品特化型のマツキヨ・ココカラファイン連合。残る1つは食品特化型だ。

 多くのドラッグストアは食品特化型だが、今のところ同分野ではツルハに一日の長がある。「北海道のコンビニで独自色を打ち出すセイコーマートのような存在」(ライバル企業の幹部)といわれるツルハは、すんなりとウエルシアとの統合呼びかけに応じるのだろうか。

 イオン・岡田会長の“友情ある説得”がどこまで功を奏するか--にかかっているのかもしれない。

 (敬称略)

NEWSポストセブン

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