【マンション業界の秘密】トランプ大統領の不思議な魅力 憎めないのは日米不動産屋共通か - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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トランプ大統領の不思議な魅力 憎めないのは日米不動産屋共通か

 日本のマンション業界には関係ないが、米国は大統領選挙の季節である。共和党は現役のトランプ、民主党は前副大統領バイデン両氏が一騎打ち。

 この4年弱のトランプ大統領を見ていると、あきれることだらけ。平気でウソはつくし、大げさすぎる誇張も日常茶飯事だ。

 米国の大統領と言えば、世界の支配者。「あんなオッサンがアメリカの大統領なのか」と何回も嘆息した。

 しかし、この4年間で山のような失言はあるが、大きな失政はない。強いて言うなら、新型コロナへの初期対応を誤ったことだろうか。しかし、それが致命的とも言い難い。誰もがやりそうなことだった。

 そんなオッサンを私は妙に憎めない。1ミリも尊敬できないが「まぁいいかな」とは思わせてくれる。不思議な魅力を持った人物だ。

 最近、私がなぜトランプ氏にアレルギーを持たないかの謎が、自分の中で部分的に解けた。それは、彼が不動産屋だからということだった。

 日本も米国も、不動産屋の特質は共通しているのかもしれない。陽気な不動産屋は野卑な冗談を飛ばして、物事をオーバーに表現する。知らないところは知ったかぶりとトークでごまかし、相手をおだてるのがうまい。時々こわもてだが、決して本気のけんかはしない。可能な限り税金は節約する。美女が大好き。結婚には何度でもトライする。まさにトランプ氏ではないか。

 自分の周りを見渡すとトランプ氏の日本版みたいな不動産屋が何人も思い浮かぶ。あるいは、部分的にトランプ氏のような人物なら、それこそ数えきれない。彼らはそれぞれに憎めない。

 トランプ氏の外交を見ていても、その手法はかなり不動産屋っぽい。利用できる材料は何でも使って取引(ディール)を有利に持っていこうとする。コンプライアンス(法令順守)については、あからさまな非難を浴びない程度の意識。日本の不動産屋のほとんどのブローカーと同レベルである。

 日本では不動産屋というと、うさん臭いイメージで見られてしまう。必ずしもそうではないのだが、一定数はそういった人々が巣くっている。油断も隙もない連中である。

 米国では不動産屋のポジションが日本よりも高いという。「弁護士と医者と不動産屋の友達はつくっておく」というのが、人生を上手に生きるためのセオリーらしい。日本では弁護士の世話にならずに一生を終える人は少なくないが、米国では違う。

 日本でも、不動産屋出身の総理大臣が誕生する日が来るのだろうか。しかし、そんな総理が誕生しても、ずっと「あいつは元が不動産屋だからな」と陰口を言われ続けそうな気がする。

 トランプ氏も米国内でさまざまに批判されているが、「あいつは不動産屋だから」的な言い回しは見たことがない。そういうことを考えるのは、ちょっと楽しい。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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