【大前研一のニュース時評】注目集める一流ホテルのサービスアパート事業 思い出すリクルート創業者・江副浩正氏の慧眼 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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注目集める一流ホテルのサービスアパート事業 思い出すリクルート創業者・江副浩正氏の慧眼

 130年の歴史を誇る帝国ホテルが1日、新規事業となる「サービスアパートメント」(正確には「サービスド・アパートメント」だが)の予約受付を開始したところ、即日完売になった。

 この事業は、旗艦の帝国ホテル東京のタワー館にある客室の一部(99室)を専用のアパートに改修し、最低5泊から利用できるようにするもの。煩雑な賃貸借契約手続きがなく、帝国ホテルが提供するサービスや館内設備なども使えるのが特徴だ。

 専属のスタッフが付き、食事や洗濯なども定額で提供する。価格は朝食のパン、コーヒー、駐車場、プール、サウナなど込みで5泊15万円。1カ月単位で長期宿泊することもでき、月額36万円。この3月15日から利用できる。

 ホテルの稼働率は長期低迷が続いている。例えば、稼働率が30%だったのが、これによって100%になると、価格を3分の1にしても確実に売り上げになるということだ。

 このサービスド・アパートメント、米国や欧州では結構あって、東京でも六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、赤坂プリンスなどでも行われている。しかし、200万円台のところもあり、とんでもない金持ちや外資系企業の東京のトップしか利用できなかった。

 これに対して、帝国ホテルはリーズナブルな価格にした。ということで、1日で売り切れとなったわけだ。

 新型コロナの影響でテレワークを導入する企業が増えているが、家族やペットが入ってきたりして、自宅では集中できないという人も多い。そういう人たちも「第2の仕事場」として利用することになると思う。

 東京には、このサービスド・アパートメントのニーズがもともとあったと思う。リクルート創業者の江副浩正さんは、例のリクルート事件の裁判をしているときから、外国人向けの「短期滞在の家具付きサービスド・アパートメント」という不動産事業を一生懸命やっていた。

 ある日突然、江副さんは私のところに来て、「インドの状況について教えてほしい」と言ってきた。「何をするんですか」と尋ねたら、東京で始めたサービスド・アパートメントをインドでやりたいという。この事業をアジアにまで広げようとしていたのだ。

 インドは住宅事情も悪いし、アパートなどのセキュリティーの問題もあり海外のビジネスマンを相手にすれば、この事業はうまくいくという自信があったようだ。私は何人か現地の知り合いを紹介した。しかし、2013年、江副さんは道半ばで亡くなった。その後、このサービスド・アパートメント事業は頓挫した。

 江副さんがいまのリクルートを見たら、その発展ぶりに引っくり返っていたはずだ。もしご存命だったら、おそらくリクルートの株価から推定すればトンでもない金持ちになっていたと思う。そのくらい世の中のニーズを読んでいる人だった。

 ホテルニューオータニなどもこのサービスド・アパートメントの事業に参入しようとしている。こういう状況を見ていると、私は事業を見る目があった江副さんを思い出す。

 ■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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