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【トップ直撃】トライアジアグループ・横井朋幸CEO カンボジアで夢を追う

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【トップ直撃】トライアジアグループ・横井朋幸CEO カンボジアで夢を追う

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横井朋幸CEO(矢島康弘撮影)  閉塞感漂う日本の現実からは考えられないような“ビジネスマン太閤記”の具現者、それがトライアジアグループCEOの横井朋幸氏だ。2年前の4月、単身カンボジアに渡り、カフェなど飲食事業からスタート。いまでは飲食、土木建築、テレビ局、プロサッカーチームなど多彩な事業を手がける。紆余曲折は予想されるが、カンボジアに羽ばたく、夢大きな青年経営者を直撃した。 (清丸惠三郎)

 −−どうしてカンボジアに

 「多くの人に同じ質問をされます。また、『カンボジアに行く』と言ったとき、友人すべてから反対されました。しかしそのことこそ同国に行こうと考えた決め手です。つまり誰も行かない、誰も投資していない国だからチャンスがたくさんあるに違いないと考えたのです。それにこの国は平均年齢23歳と若く、成長の可能性が高いことも進出した大きな理由です」

 −−まずカフェを始めました

 「もともと具体的な計画があって行ったわけではありません。日本ではコンサルタント業のような形のない商売をしてきたので、地に足が着いた仕事をしたいと考えました。現地を歩き回っているうちにカフェをやろうという気になったのです。ライバルがなくすぐ2店に増やしましたが、次々とライバルが出てきて、1店はすでに売却しました」

 −−カフェの後、ラーメン店、ファミリーレストランなども

 「そうです。しかし飲食業は参入障壁が低いので、成功するとすぐライバルが出てくる。当社が積極的にやるべきビジネスではないなと考え、土木建築関係をメーンにする方向で動いています。カンボジアはいま建築ラッシュ。単純に言えば、こちらが儲かる。そこで日カン工務店(現・日カン建設)を設立、土木建築業に進出したのです」

 −−土木建築業に出るにあたり人材や資金は

 「技術面は、徳島大学の土木工学科を出て、四国電力などに勤めた経験のあるカンボジア人技術者をスカウトし、営業はこの国は“人脈経済”なので、有力者につながる人を何人か採用しました。結果、今年3月、プノンペンからタイのバンコクにつながる国道5号の拡張工事を544億円で受注できました。資金ですが、この工事はカンボジアの道路経営会社に英国のファンドがBOT(建設、経営後、公共へ引き渡す)方式で投資するもので、近々90億円の資金が送金されるので、それが確認され次第、工事に入ります。以後、工事の進捗具合に応じて工事代金が支払われることになっています」

 −−それにしても、横井さんは飛躍に次ぐ飛躍を重ねてここまできた

 「北大に編入したものの、学校へ行ったのは数日。北大生というブランドを活用し、学生や若者を対象にしたマーケティング会社を興しました。大手即席麺会社の北海道限定焼きそばをヒットさせたり、フリーぺーパーを創刊したりして、それなりにうまくいったのですが、学生ベンチャーではしょせん限界があるし、市場の大きな東京に出て勝負しようと」

 「東京に来たときも計画があったわけではなく、まずさまざまな交流会に顔を出し、ビジネスの種を拾いました。そこである経営者が社会保険料の負担を減らせないかとつぶやいているのを耳にし、社会保険の最適化ビジネスをやろうと。それもコンビニなど大企業を対象に。しかし、もう一段の飛躍をと考えて、この会社を売却してカンボジアに渡ったわけです」

 −−今後のカンボジアでの事業計画は

 「うちはカンボジアナンバーワンのサッカーチームを所有し、日系初のテレビ局も開局しました。これらの事業に住宅開発を結びつけてメディア連動型の都市開発をやろうと考えています。もう1つは金融、いわゆる小口をメーンにしたマイクロファイナンスに出る準備をしています。また“カンボジアの東大”である王立プノンペン大学と連携し、奨学金プログラムを始めています。日本が誇る技術やホスピタリティーを持ち込み、現地の人たちの生活を少しでも豊かにすることが目標です」

 【放任教育】

 生まれてこの方、「両親から勉強しろと言われたことはない。宿題などしなくても何も言われなかったけれども、さすがにある時期からこれはまずいと自分でするようになりましたね」と苦笑する。

 兄妹3人、自由に育ち、弟さんは宮崎県で農業をしている。

 「兄貴は『金儲けに精を出し過ぎだよ』と皮肉りますが、妹を含め3人仲はいいですよ」

 【ロンさん】

 英ロンドンでたまたま出会った「露天商のおじさん」。

 トレーラーで各地のフェスティバルを回り、「ジャパニーズヌードル(日本風焼きそば)を売っていた。もともと大学で社会学を教えていたインテリだが、自由に生きたいということでこの道に入った人です」という。

 3カ月ほど手伝ううちに「商売すると、こういう自由な生き方が可能なのだと思うようになった」。それが、横井氏がビジネスへ関心を持つ始まりだった。

 帰国して簿記学校へ入ったのも、「ビジネスを始めるなら数字を分かってないとダメだぞ」というロンさんのアドバイスによる。

 【大事にしている言葉】

 「何か物事を判断するとき、常にその言葉を思い起こすようにしている」と語る。ロンさんから教えられたもので、「Everyone has onelife」(誰も人生は1度きりだ)という言葉だ。悔いのないように生きろということでもあろう。

 【カンボジア料理】

 「一言で表すと辛くないタイ料理」だそうだ。「ちょっとエッジが利かない感じはあるが、私自身は好きですね」

 【余暇】

 「カンボジアにいるときはほとんど仕事をしています。休みなしに。日本に帰ってきたときは、経営者仲間の友人と飲みに行ったりしますが、その時間を除くと人に会ったり、講演に出かけたりと、やはり仕事ばかりですね」

 ■会社メモ 日系総合商社を標榜する企業グループ。本部・カンボジアの首都プノンペン。2012年、横井氏が始めた個人事業が母体。現在、飲食、人材支援、家具製造、不動産、土木建設、IT、テレビ局、サッカーチームなど幅広く事業を展開。現地に軸足を置いた新しい日系ベンチャー企業として脚光を浴びている。「5年後、グループ売上高1000億円」が目標。資本金12万5000ドル(1300万円)。従業員数273人。

 ■横井朋幸(よこい・ともゆき) 1979年、鹿児島県生まれ。35歳。高校までを愛知県で過ごし、ロックの本場をこの目で見たいと渡英。ある契機からビジネスに関心を持ち、帰国後、簿記学校で簿記1級を取得。この間、通信制短大を卒業し、北海道大学経済学部に編入、マーケティング会社を起業する。2009年、上京し、社会保険料の最適化ビジネスを始め、11年にこの事業を売却。12年4月、カンボジアで個人事業を立ち上げた。明るい人柄の上に弁舌爽やかで投資家、経営者、若者らの応援団が少なくない。

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