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「カメラを止めるな!」の勢いを止めるな! ここまできたら「てっぺん」取っちゃって

 都内のふたつの映画館から始まった「カメラを止めるな!」という映画は、公開2カ月弱で上映館170を超える、大ヒットとなっています。この勢いが続けば、興業収入10億円が視野に入ります。ちなみに少数上映からヒットしたフランス映画「アメリ」(2001年)の興業収入が約15億円だから、似た現象とも言えます。

 せっかくなので六本木ヒルズで鑑賞したけど、土曜日は激込みで、最前列しか席が取れませんでした。いや~この人気、本物ですぜ。

 この映画を全部語ると、ネタバレになるので、少しだけ語ります。冒頭は37分間、ワンカットで撮った“チープ”なゾンビホラー映画が流れます。話はゾンビ映画の撮影中に、本物のゾンビが襲来して大騒ぎという展開です。映画の撮影中にゾンビ騒動もなんのその、絶対に「カメラを止めるな!」となるのですが、話はさらに、意外な方向に向かうのでした。

 ヒルズでの上映中、その37分間のゾンビ映画中に、オバサン数人が席を立ちました。

 こんな安っぽいゾンビ映画を、見てられないわという心境でしょうか。結局、その人達は戻りませんでした。

 この映画の面白いのは、上映37分後の世界です。最初の訳の分からないゾンビ映画があっての、ネタばらし。これがこの映画を一番面白くしている要素です。

 ゆえに、キャッチフレーズの「最後まで席を立つな」を、もっと強調すべきかもしれません。

 300万円の低予算で、撮影日数はわずか8日間、スタッフやキャストはほぼ無名という状況で、これだけ勢いのある作品を、作れたことが素晴らしいです。

 売れたおかげなのか、パクリ騒動も起こり、映画を盛り上げています。そもそもは、ある演劇からヒントを得て作られたもので、関係者には許諾を得てますが、「原案」を「原作」にして欲しいようです。

 映画と演劇は別モノです。それは「宇宙戦艦ヤマト」で、漫画と映画は別作品という、判決がすでに出ています。これは新たに演劇として公演し、映画と競争した方が面白いと思いますよ。

 映画ってしょせん口コミなんですね。そういう意味では、今のSNS時代にぴったりの映画かもしれません。あのしょぼい画面で、悪戦苦闘している出演者の皆さん、30年前の自主制作映画ブームを思い起こさせます。見たら妙に応援したくなる映画かも。ここまで来たら、ぜひ「てっぺん」を取っていただきたいです。

 ■木村和久(きむら・かずひさ) コラムニスト。本連載と日刊SPA!の連載をまとめた近著「50歳からのかろやか人生」(雷鳥社)が発売中。

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