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連日流れる「有名女優X」の違法薬物疑惑… 有名人を何人逮捕したところで「転落ショー」でしかない

 昨年から始まったともいえる芸能界の“違法薬物事件フィーバー”だが連日連夜、多くのメディアで「逮捕秒読み」だの「有名女優X」だのといった犯人探しが世間を大いに興奮させている。

 いつも不思議に思うのは、そういった怪情報がどういうルートでマスコミに回ってくるのかということである。

 よく言われるのは、捜査関係者がマスコミにリークしているという話だが、捜査関係者が自ら対象者に警戒心を与えてしまうことであり、何の得もない。

 逮捕後の被疑者の様子などをリークするのなら分かるが、捕まってもいない対象者に対して、「今狙っているから気をつけてくださいね」と教えてくれる警察がどこにいるであろう。

 麻薬の売人からの情報という話もあるが、商売相手がいなくなっては困ってしまうので、彼らが大事な顧客の個人情報を流すということも理屈に合わない。

 最悪なケースは、マスコミ自体がありもしない事件を商売目的で捏造(ねつぞう)しているという話である。三流芸能誌は別として、さすがに大手マスコミにおいてはそんなことはめったにないとは思う。しかし特捜が冤罪(えんざい)をするくらいの世の中なので、絶対にないとはいえないだろう。

 だが芸能人の違法薬物事件というのは、悪い意味で多くの人の関心を呼ぶ。私自身も、芸能人の違法薬物事件には強い関心を持ってしまうくらいだ。実際に大物芸能人が逮捕されたとしたら、テレビの視聴率は上がり、週刊誌や新聞は売れ、ネットのアクセス数も上がるので、マスコミとしてはそういう事件が商売に直結しているのは確かだろう。

 しかし世間はどうして芸能人の違法薬物事件がそれ程に気になるのだろう。“一罰百戒”ともいうが、古今東西、芸能人が何人逮捕されても、末端の売人が数人捕まる程度で、麻薬犯罪組織が傾いたという話は聞いたことがない。

 浅はかな有名人を何人逮捕したところで「転落ショー」でしかなく、大本のシステムをたたかない限り、巨悪はいつまでたっても「高枕」であろう。世の中は本気で違法薬物を根絶させる気があるのかと疑ってしまう。

 昨年の沢尻エリカさんの逮捕で「転落ショー」としては世間も感極まったはずである。大河ドラマの撮り直しという事態も含め、あれは日本芸能史に残る大スキャンダルであった。

 しかし連日のイニシャルX報道などを見ると、世間は、この次の「演目」は何であろうかと舌なめずりとしているようだ。

 できるのならこのままショーが終わってほしいのだが、それでもまだ続くというのなら、そこに出てきた「出演者」はどれだけバカなのであろうか。

 とても簡単なことなのだ。逮捕されて血祭りに挙げられるのが嫌なら、やらなきゃよいだけである。何か大きな努力をしろと言っているわけではない。

 だが、単に違法薬物に関わらないというだけのことが、実は、巨大な努力を果てしなく行うよりも難しいことなのかもしれない。人の心とはそういう矛盾に満ちている。

 ■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。

 88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。主な出演番組は『アウト×デラックス』(フジテレビ系)など。

 2020年、YouTubeで公式チャンネルを開設し、動画を投稿中。

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