【織田哲郎 あれからこれから Vol.84】“たたき上げ”菅官房長官に思う 政治家に「二世システム」は必要なのか - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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“たたき上げ”菅官房長官に思う 政治家に「二世システム」は必要なのか

 自民党の総裁選が行われますね。立候補された菅義偉さんが二世三世でない“たたき上げ”として、その苦労話が注目されています。逆にいうと二世三世の議員が今は当たり前なんですよね。そこがちょっと不思議なのです。果たして政治家の資質というものは、そんなに遺伝するものなんでしょうか。

 スポーツ選手、あるいは音楽家でも当然、二世で活躍している方々はいます。でもそれは当たり前ではありません。お笑いの人なんて二世の方はほとんど聞かないです。

 どんな職業でもプロになる人というのは、普通の人よりも小さい頃からそのスキルを磨くことを意識的、あるいは無意識的に積み上げてきた人たちです。そしてその中で勝ち抜いてきた人たちです。芸人さんの大半は、小さい頃から面白い奴として、クラスで学校で勝ち抜いてきた人なのではないでしょうか。

 自分の話をすると、高校のころ北島健二という、その後ずっと一流ギタリストとしての人生を送る奴が同級生で友人でした。ある日大勢で喫茶店でたむろしてしゃべっていたとき、有線でかかった曲のギターフレーズに、私と北島だけが反応して2人で声を上げたことがあります。

 その頃は分からなかったのですが、多分みんなでしゃべっているときに流れた曲のギターフレーズなんて、誰も聴いていないのです。結局、私と北島はその後、音楽のプロとしての人生を送っています。

 それはそれだけ音楽に興味がある、あるいは何やら耳がそんなシステムになっているのかよく分かりませんが、そうやって常に流れている音楽を無意識のうちに意識している(変な日本語ですね)し、年月がたつうちに、音楽に関するデータ量が普通の人と相当違っていったのではないでしょうか。

 ちなみに私の母親は音楽が好きで、実際に楽器や歌が得意でしたが、父親は人生で2曲だけ繰り返し練習していた曲があって、その2曲すらずっと音程もリズムもちゃんととれませんでした。

 そんなことを考えると、果たして政治家ってそんなに家業としてやれるような仕事なのかなぁと疑問に思ったりするのです。

 昔は子供の頃からガキ大将タイプだったり、策略家タイプだったり、とにかく「あいつに任せとけばなんとかなる」と周囲から思われるような、調整力や決断力に優れていて、さらにそれを磨き続け、しかも志のある人が政治家を目指した時代もあったんじゃないかという気がするのです。

 絶対に二世がダメなんて思いませんが、子供や場合によっては奥さんが、地盤を家業として引き継ぐというシステムが機能しているのはどうなのかなぁと思うのです。

 ■織田哲郎(おだ・てつろう) シンガーソングライター、作曲家、プロデューサー。1958年3月11日生まれ。東京都出身。79年のデビュー当初からCMやアーティストの音楽制作に携わる。現在「オダテツ3分トーキング」をYouTubeで配信中(毎週土曜日更新)。

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