【玉ちゃんの酔滸伝】巨額の借金でもユーモアは忘れなかった… 岸部四郎さん爆笑追悼秘話 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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巨額の借金でもユーモアは忘れなかった… 岸部四郎さん爆笑追悼秘話

 岸部四郎さんがお亡くなりになりました。岸部さんとは生前、たくさんのお仕事をさせてもらいました。

 とはいえ、日本中の女性たちを熱狂させた人気バンドのザ・タイガースのメンバーから、お茶の間の子供たちに大人気のドラマ「西遊記」の沙悟浄、そして朝の主婦の友の番組だった「ルックルックこんにちは」の司会を務めたりと、すべてが順調でうなるほどの金回り時代の共演ではありません。事業失敗・放蕩(ほうとう)からきた巨額の借金苦となり番組は降板、すべてを失って陸に上がったカッパ状態の時代の岸部さんとご一緒させてもらっていたのです。

 転落当時の岸部さんは50歳の手前でした。いかに若くして成功を収め、転落してしまったのかと共演時代を思い出し、今さらながら、何と波乱に富んだ人生なのかと思いににふけります。

 日夜、借金の取り立てに追い込まれているにも関わらず、現状を諦観していたのか、持ち前の飄々としてユーモアを忘れずテレビで見るままの姿で現れる岸部さん。何とかして助けようというおせっかいな企画で、食事も欠くことになるだろうと大食いチャレンジで有名なステーキ店へ岸部さんを連れていき、「時間内に食べれば無料ですから頑張って食べましょう」と無謀な400グラムのステーキ3枚にチャレンジしてもらいました。

 借金を苦にして岸部さんにもしものことがあってはいけないと、気分転換に散歩でもと連れ出したこともありました。場所は、よりによって青木ヶ原樹海。入り口で岸部さんと別れてから時間をおいて樹海に入ります。大捜索のさなか、「もしや…」という不安が私によぎります。樹海の片隅でようやく発見された岸部さん、そこはバラエティーなれしている岸部さん。これまた「西遊記のロケを思い出しましたわ」と見事にかわしてくれました。

 ロケバスの中では楽しい話をたくさん聞かせてもらいました。タイガース時代、タンバリンをたたいていた岸部さんでしたが、これがからっきしの苦手。メンバーから「お前がたたくとリズムが狂う」といわれ、タンバリンにセロテープを張ってミュートさせ、たたいているふりだけをしていたという音楽史を揺るがす話でした。

 そして仰天は巨額詐欺事件で世を騒がせた法の華三法行の代表・福永法源さんとの仰天エピソード。足の裏を診断していた福永さんの身長は192センチで、187センチの岸部さんを上回ります。2人の巨人が並び立つ姿は壮観ですが、岸部さんはその福永さんからお金を借りようとしたそうです。

 「足裏診断されたんですか?」と聞くと「足の裏より、こっちの足元見られて借金断られましたわ」と、「最高ですか!」のフレーズを連呼していた福永さんよりも最高なオチをつけ、お金を貸してくれなかった福永さんに対し「最高ですかというてるけど、最低ですわ!」と切り捨てたのです。

 岸部さんは逆境までシャレにしてくれて笑わせてくれたのです。岸部さんの訃報を聞き、そんな当時の思い出のアルバムを引っ張り出した私なのでした。

 ■玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう) お笑い芸人。1967年6月22日生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入り。TBSラジオ「たまむすび」(金曜)、TOKYO MX「バラいろダンディ」(火曜)にレギュラー出演中。2013年から一般社団法人全日本スナック連盟会長。著書に「スナックあるある この素晴らしき魑魅魍魎の世界」(講談社)、「スナックの歩き方」(イースト新書)など。

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