【織田哲郎 あれからこれから Vol.86】2人の声が生む化学作用がKinKi Kidsの魅力 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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2人の声が生む化学作用がKinKi Kidsの魅力

 2013年にKinKi Kidsのシングル曲として『まだ涙にならない悲しみが』を提供しました。彼らとは01年の『ボクの背中には羽根がある』からの付き合いで、04年には『Anniversary』も提供しています。アルバムの曲も結構書いています。

 私にとって、彼らはシンガーとしてとても魅力的なのです。2人の声が重なると、何ともいえない魅力が生まれます。気品のある哀愁といった感じでしょうか。それは理屈ではなく、2人の声が合わさって生じる化学的な作用のようなものです。

 実は曲や詞にしても、理屈ではいけてるはずなのに、なんだか魅力的でないという場合があれば、その逆に何でこんなしょうもない作品が人をひきつけるんだろう? という場合もあります。これらはやはり化学的な作用としかいえない面があるのです。

 そういう意味では、いまや将棋や囲碁といった分野ではAIのほうが強い、あるいは将来的に強くなると予測できる状態ですが、音楽の魅力の本質はまだまだきちんと解明されていないのです。

 AIは、ある程度は“曲のようなもの”を作ることができても、本当に魅力的な作品は、当分作ることはできないんじゃないかと思います。

 というわけで、誰かに曲を書こうとしたとき、ポン! と良い曲が楽に生まれるケースもあれば、逆になぜかうまい具合に良い曲に仕上がらないケースもあります。

 その人に曲を書きたいと思う気持ちが強ければ良い曲が書けるというわけでもないのです。相性というしかない、理屈ではない何かがそこにはあります。

 そういう意味では、私は相性の良いアーティストの方々に出会えて、とても幸運に恵まれていたと思います。

 『まだ涙にならない悲しみが』では、何とPVに出演しませんか? というオファーがありました。ストーリー仕立てのPVで、キンキの2人は高校の同級生。音楽のサークルに所属し、そこに彼らが思いを寄せている女の子もいた。卒業して、時がたち、久しぶりに集まって仲間と部室で演奏する設定です。私はそのサークルの顧問の先生という役でした。

 久しぶりに見てみましたが、いやもう何というか、冷や汗が出ました。ただ私は子供のころには将来、学校の先生になりたいという気持ちもあったので、生徒たちが卒業後も会いに来てくれると、とてもうれしいことじゃないかなあと思っていましたから、ひとつ夢をかなえてもらったような気がしました。

 ■織田哲郎(おだ・てつろう) シンガーソングライター、作曲家、プロデューサー。1958年3月11日生まれ。東京都出身。79年のデビュー当初からCMやアーティストの音楽制作に携わる。現在「オダテツ3分トーキング」をYouTubeで配信中(毎週土曜日更新)。

 『織田哲郎 LIVE TOUR 2020~一寸先はYummy!』は、10月24日(土)=名古屋「ReNY limited」▽25日(日)=大阪「BIG CAT」▽11月6日(金)=東京「EX THEATER ROPPONGI」で開催。9月26日から一般発売開始(プレイガイド先行あり)。詳しくは公式サイトt-oda.jpへ

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