伊勢谷逮捕で「大麻は特別」と主張強める一部ネット民の誤謬 (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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伊勢谷逮捕で「大麻は特別」と主張強める一部ネット民の誤謬 (1/2ページ)

 1948年に制定された日本の大麻取締法は、無免許の大麻取り扱いを禁止する法律であり、使用については罰則がない。これは幻覚作用を引き起こす物質が、麻製品産業に関わる人や、七味唐辛子などに使用される成熟した種子からも検出されるため、幻覚が目的の薬物乱用者と混同しないためのものだ。中毒者についてはちゃんと対処する法律があるのだが、そこには目を向けず、有名人が大麻で逮捕されると「意味がない法律でまた逮捕者が出た」「早く大麻を合法化すべき」といった声がSNSをかけめぐる。それと同時に、大麻は他の薬物とは違うといった、奇妙な選民意識も見せつける。伊勢谷友介の逮捕でまたしても強くなった、彼らの「大麻は特別」とはいったい何なのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。

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 俳優・伊勢谷友介が大麻所持で逮捕された。一般人からこの事件をみると、NHKの大河ドラマや民放の人気ドラマに出ていた現役俳優が薬物を使用していた、というように映り、国民の間に「衝撃が広まった」とも言えるのかもしれない。他方、伊勢谷のファン……もとい、伊勢谷の言動や理念に共感するという人たちの間では、伊勢谷に対する信頼が深まり、伊勢谷の言っていたことが「真実では」というような声すら上がる。一体どういうことか。

 「ションベン(尿検査)でシャブ(覚せい剤)とかコーク(コカイン)が出てきたらガックリきてたと思う。でもやっぱり、クサ(大麻)だけだったでしょう? 伊勢谷さんの動画見ました? ナチュラル(自然)に囲まれて、青空の広がるベランダでチル(大麻の吸引)。傍らには可愛い彼女……マジな幸せの形。金じゃないです、伊勢谷さんは」

 スマホの向こう側で「それ見たことか」と言わんばかりに食い気味に、まくし立てるように主張する男性・近藤孝仁さん(仮名・40代)とは以前、危険ドラッグの取材を通じて知り合った。大麻の所持や売買で前科三犯、現在は家族ができて「(大麻は)スッパリやめた」というが、大麻自体を決して否定しない。いや、否定するどころか、伊勢谷のことを擁護する。

 「大麻は自然のもの、依存性だって酒やタバコより低い。海外では病気の治療にだって使われる。大麻の薬効成分で体がダメになるというより、大麻で捕まった際の社会的影響によって人生が狂うとも言われましたが、これが真実でしょう。大麻の有効性が知れ渡ると困る人たち、支配層がいる。金持ちの下に病院や警察がいて、大麻を取り締まる、全ては金儲けのため」(近藤氏)

 実際、伊勢谷は自身のSNS上に「大麻で人生崩壊するのは難しいと思うけどな。それならお酒の方が簡単だ」と、大麻を擁護し、酒の危険性を訴えるような書き込みを残している。伊勢谷と近藤氏に通じるのは「大麻使用は悪くない」という本音であろう。ちなみに、薬物依存については使用パターンや頻度、量、摂取する人が若年層かどうか、といったことによって危険度は大きく違ってくるので、危険性が高い薬物どうしを比べて●●は安全、といった比較は意味がないという専門家からの指摘があることを付け加えておく。

 ところで、大麻について伊勢谷や近藤氏と同じような訴えをしている人物がいる。この例を出せば大麻擁護者たちから「恣意的だ」と言われるかもしれないが、神奈川県相模原市の障害者施設で入居者19人を殺害、26人に重軽傷を負わせたとして今年3月、死刑が確定した植松聖死刑囚である。事件を取材し、横浜拘置支所で植松と接見した全国紙記者がいう。

 「危険ドラッグや精神薬をやると脳が壊れバカになる、大麻はその逆で地球の力がある、というような主張を、接見に来た記者全員に説いていました。植松は、危険ドラッグの使用経験もあり、罪であることも自覚していましたが、大麻については違いました。『大麻精神病』が事件を引き起こすきっかけになったという弁護団の主張方針を嫌っていて、大麻を悪く言うなと繰り返し主張していたのです」(全国紙記者)

NEWSポストセブン

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