【桂春蝶の蝶々発止。】東京五輪ホントにやるの? コロナ禍と先の戦争を重ね合わせる - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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東京五輪ホントにやるの? コロナ禍と先の戦争を重ね合わせる

 われわれ上方落語協会が運営する天満天神繁昌亭(大阪市)も、緊急事態宣言中は午後8時までの時短営業になり、対応に追われてます。午後8時できっちり終了…。これは芸能の場合は難しく、やむなく中止を決定する企画もあります。

 飲食店と違って協力金が出るわけでもないですが、われわれがそれに協力するのは、ルールを守って常識を持って開催している、つまり社会に向けての「誠意」であると考えるからです。

 「全芸人の30%が廃業した」「噺家も5割以上の減収」といわれるコロナ禍ですが、人命に関わることで仕方ないのは誰もが理解しています。みんなが「欲しがりません勝つまでは」と我慢をしている。

 しかし、政府は「東京五輪・パラリンピックはやる」という。これに大きな矛盾を感じるのは私だけでしょうか?

 私は、現状と先の戦争を重ね合わせることがあります。太平洋戦争の大きな原因は石油でした。石油が無ければ多くの日本人が死に絶える…不幸になるという大義名分があった。だけど、オイルが無くなったときの犠牲者数と、戦争の死者数を、きちんと検証をした人を知りません。

 私は、あの戦争は愚策の極みだと思っていますが、その検証は今でもいいから見たいと思う。約310万人が犠牲となった戦争ですが、もし石油が無かったら2000万人死者が出ていたという根拠でもあれば、見方を変えざるを得ない。

 あの戦争は、軍部と戦意を煽り倒すマスコミ、それに洗脳された世論の三つどもえで突き進んでいきました。その構造は、コロナ禍のいまと似ていると思うのです。

 私は自粛が悪と言っているのではありません。ただ、緊急事態宣言の自粛や、観光支援事業「GoToトラベル」の一時停止などで、コロナ感染者がどれだけ抑制され、経済的犠牲が増えたかなど、政府が総合的検証を発表したとは聞かない。

 「勝負の3日間です!」「この連休がヤマ場です!」

 実は1年以上、こんなことを繰り返していますが、コロナは従来の風邪と同じように拡大している。自粛という決死の戦いに、どれだけの意味があるのか、その真実をいつかきちんと聞いてみたいものです。

 街には失業者があふれ、自殺者も後を絶たない。私には、その方々がこのコロナ戦争の「戦没者」のように感じるのです。「医療従事者に感謝を!」という文言は、「軍人さんが戦地で頑張っているのだから、国民は我慢しよう」というロジックにも似ている。

 そんな中でのオリンピック。私はこれを大胆にも「朝鮮戦争」に重ねてしまった。あれだけ戦争で傷ついたのに、戦争という特需で日本を復興させるという…。これもまた、大きな矛盾に思えるのは私だけですかね?

 ■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市の「咲くやこの花賞」受賞。

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