【ぴいぷる】竹島宏 歌は祈り、ファンへ20年目の恩返し 「僕のぎこちないダンスでも家族連れや若い子が足を止めてくれるように」 話題呼んだ“踊らされちゃう歌謡曲”など収録 (1/2ページ) ぴいぷる
「僕がイメージするデビュー20周年を迎えた歌手って、正直もっと重厚感があるという感じ。ほんとまだまだですね」
今年、43歳になるが、童顔のせいもあってか、若くみられる。本人は「ぼーっと生きているんで」というが、その若々しさはまぶしいほどだ。
「先輩の方々のかつての映像を見ても、20年選手となると、どの方も大物感があるんですよ。今の僕を思うと、ちょっと心配になってきますね。これで大丈夫なのかな」
昨年のコロナ禍での緊急事態宣言では、スケジュールが一気に白紙になった。「ステイホーム」で自宅にこもっていると心がふさぎ込むことも。
「相当落ち込みましたよ。歌手というより、人間としてどうやってこれから生きていこうかと。ひとりで過ごしていると、真っ暗闇の奈落に突き落とされたような感じでした」
心の闇は5月まで続いていた。そんなとき、部屋の片づけをしていると、ファンからの手紙を見つけた。そこには、自分の歌をまた聴きに行く日を楽しみにしているというファンの思いがつづられていた。
「そうした手紙やメールを読んでいると、僕のほうが励まされて、いったい僕は何をやっているんだろうって。みんなだって大変なんだから、この人たちのために頑張ろうと心が救われました」
そんな思いを込めてリリースしたのが、デビュー20周年を記念したアルバム『Stories』(テイチク)。今回は「ivy(アイビー)」と「Bougainvillea(ブーゲンビリア)」と題した2枚を制作した。
「こんなときだから、時間をかけてアルバムを作ろうと思ったんです。もともとは1枚のつもりだったんですが盛り上がっちゃって、これまでのシングルのカップリング曲も入れようとなって。本当は2枚組にすればいいんですが、“竹島宏ビギナー”の方にすると、いきなり2枚組なんて買っていただけないでしょう」と照れ笑い。
作詞家・松井五郎、作曲家・都志見隆コンビがプロデュースしたアルバムは、人生を物語としてとらえたコンセプトアルバムに仕上がった。
「これまでのレコーディングは歌番組の収録や地方営業で全国を旅するタイトなスケジュールの中で、バタバタと歌入れをしていました。でも、今回はゆっくりと準備することができました」というように、さまざまな表情をみせてくれる。
『恋町カウンター』などシングル3曲で“踊らされちゃう歌謡曲”と銘打ち、ダンスをつけていた。もう封印するつもりだったが、「アルバム収録曲の『棘(とげ)』を家で練習していたら、体が反応しちゃうんですよ。なので、今回は決めどころでダンスをつけました」。
最初はダンスなんて踊れないと思っていた。もっと歌を聴いてほしいとも思っていた。しかし、歌番組で共演したアイドルたちのダンスを見ているうちに、それもまた歌の世界を表現する方法だと気が付いた。
「僕のぎこちないダンスでも、ショッピングモールのキャンペーンで家族連れや若い子たちが足を止めてくれるようになりました」
コロナ禍で改めてじっくりと歌に向き合ったことで、より一層歌への思いが深まってきた。