【エンタなう】絶海の灯台…モノクロが映しだす男2人の恐怖と美 映画「ライトハウス」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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絶海の灯台…モノクロが映しだす男2人の恐怖と美 映画「ライトハウス」

 絶海の孤島にそびえる灯台にたった2人の男。人間の極限状態をグロテスクかつ美しく描く映画「ライトハウス」(公開中)は、狂気に満ちた傑作スリラーだ。

 1890年代のニューイングランド。4週間の約束で、未経験の若造(ロバート・パティンソン)と老いた灯台守(ウィレム・デフォー)が島の灯台にやってくる。若造は過酷な仕事ばかり押し付けられ、初日からそりが合わない。老灯台守は、「光源のあるてっぺんはオレの領分だ。お前には10年早い」と独裁者のように振る舞う。

 やがて海が荒れ狂い、食糧を補給する船も近づけない大嵐の中、若造が錯乱。2人の隠された秘密が暴かれ、身の毛もよだつ惨状に…。

 ロバート・エガース監督は、魔女への恐怖により崩壊する敬虔なキリスト教徒の家族を描いた「ウィッチ」で長編デビュー。今作も「巨大な男根(灯台)の中に男が2人囚われて、ロクなことはない」と監督自身が解説するように、追い詰められた2人が、いつ暴発するか、観衆はハラハラしっぱなしだ。

 35ミリのモノクロームに漆黒の大波と、眩い灯火、そして膨大なセリフで本性をさらけ出す人間のドアップだけが映る。ほぼ正方形に切り取られた画像の息苦しさは、そのまま孤島の灯台生活の擬似体験であり演劇的。逃げ場がなく、性のはけ口もなく、自慰にふけり、大酒をくらった先に待つものは何か。海の神話になぞらえた衝撃的なラストに息をのんだ。 (中本裕己)

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