【さらば千葉真一 魅せたサムライ魂】『風林火山』 出演陣が聴き入ってしまう「殺陣トーク」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【さらば千葉真一 魅せたサムライ魂】『風林火山』 出演陣が聴き入ってしまう「殺陣トーク」

 1970年代以降、映画『柳生一族の陰謀』の柳生十兵衛や『影の軍団』の服部半蔵で時代劇アクションの新世界を切り開いた千葉真一さん。実は主役ではない作品でも常に強烈な印象を残している。

 その代表作が映画『里見八犬伝』。妖怪一党に狙われる姫(薬師丸ひろ子)を助けるために集結した「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の8つの不思議な玉を持つ八犬士(千葉、真田広之、志穂美悦子、京本政樹ら)が悪霊集団と熾烈な戦いを繰り広げる。

 原作は滝沢馬琴の長編小説『南総里見八犬伝』を翻案した鎌田敏夫の『新・里見八犬伝』だ。千葉さんは「忠」の玉を持つリーダー格の犬山道節を演じた。道節は姫と八犬士の犬江親兵衛(真田)が恋仲と知り、2人を救うため妖怪宮殿の扉の前で命がけの闘いを見せる。くし刺しにされても、「姫!!」と叫びながら、霊術で宮殿を破壊する道節。若い主役2人を盛り上げているのはわかるが、いざ闘い始めると千葉劇場になってしまうパワーはさすがだ。

 もう1作、光ったのはNHK大河ドラマ『風林火山』。武田晴信(信玄・市川猿之助)の軍師となる山本勘助(内野聖陽)が主人公の物語で、千葉さんは晴信の教育係・板垣信方だ。武田信虎に愛する女を殺され、怨みを抱いて武田に挑んだ勘助は、板垣に取り押さえられる。そこから武田との縁がつながる。板垣は勘助の恩人だ。このドラマでも見せ場は板垣の最期。味方のため、ひとり突き進んだ板垣は、敵兵に円陣で囲まれる。ずたずたにされながらも、「飽かなくも なほ木のもとの夕映えの 月影宿せ花も色そふ」と辞世の句を詠み、無数の矢を打ち込まれ、青空を仰ぎ見て「若…」と信玄の名を呼んで絶命する。カッコよすぎだよ!

 ドラマ関係者からは「千葉さんの殺陣トークが始まると止まらなくて、内野さんはじめ、みんな聴き入っていた」と聞いた。久々に馬を走らせ、武将になりきった千葉さんのうれしそうな顔が目に浮かぶ。馬の乗り方、刀の構え方、足さばき、そして斃(たお)れる瞬間の演技まで、私も取材でいろいろと聞いて時間を忘れた。

 「日本の時代劇は世界に誇れる。資金面は大変だが、もっともっと作らないと。シナリオは用意してるんですよ」

 映画の夢を抱き続け、語り続けた千葉真一さんのご冥福を心よりお祈りします。 =おわり (時代劇コラムニスト) 

 ■風林火山 2007年1月7日~12月16日、全50回。NHK大河ドラマ第46作。原作は井上靖の同名小説。

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