【ぴいぷる】俳優・升毅 初心忘れず思いを届ける 昨年急逝…親友、佐々部清監督の意思受け継いだ映画「歩きはじめる言葉たち ~漂流ポスト3.11をたずねて~」公開中 (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ぴいぷる】俳優・升毅 初心忘れず思いを届ける 昨年急逝…親友、佐々部清監督の意思受け継いだ映画「歩きはじめる言葉たち ~漂流ポスト3.11をたずねて~」公開中 (1/2ページ)

 「主役であろうと、どんな小さな端役であろうと、演じるスタンスは同じです。この作品の中で自分に何が求められているのか。そう考えながら全力で演じてます」

 検事に極道。二枚目、三枚目。この人が脇を固めることで一段と深みを増す。変幻自在に演じ分ける名バイプレーヤーだ。

 「演じる思いは新人時代とまったく変わっていません」。キャリアをみると、後数年で半世紀を迎えるという大ベテランだが、初心を忘れることはない。

 正月映画「無頼」(井筒和幸監督)では銃殺される暴力団員役だった。

 「着弾スーツを着込んでいざ本番。何発も銃弾を撃ち込まれ、もんどりうって、血まみれになりながら倒れたら、井筒監督に怒鳴られました。『何や、その顔は。撮り直しじゃあ!』って」と笑ってみせる。

 新人の心境で臨む一作一作。60も半ばの年齢で、なかなかできることではない。

 40年前、その井筒監督の「ガキ帝国」で映画デビューした。長い役者人生の中で、重鎮監督たちと絆を強め、少々のことでは動じない。が、盟友の一人が昨年、突然亡くなった。これはこたえた。

 「知らせを受けて呆然としました。今でも亡くなったことが信じられない。受け入れることなどできなくて…」

 佐々部清監督。昨年3月、新作映画の準備のために山口県下関市のホテルで宿泊中、心疾患で急逝した。62歳だった。

 「佐々部監督とは年齢も近く、親友の関係でした。実は監督が準備中の新作の脚本を数本渡され、『一緒に撮ろうな』と約束していたんですよ」と打ち明ける。

 その中の一作が、ドキュメンタリー映画として完成した。

 「歩きはじめる言葉たち~漂流ポスト 3・11をたずねて~」(公開中)

 「当初の構想は劇映画でしたが、監督は何を撮りたかったのかをたどるドキュメンタリーに変わりました。監督の心の中の風景を旅するような、そんな撮影でした」

 東日本大震災後、「亡くなった大切な人へ思いを届けるポスト」が岩手県陸前高田市にある。

 佐々部監督の故郷・下関からポストのある東北まで、監督ゆかりの地を縦断しながら旅するロードムービーになった。升は語り部として登場している。

 名バイプレーヤーだけに主役を演じたのは遅く、5年前、佐々部監督がメガホンを執った映画「八重子のハミング」が初めてだった。アルツハイマーを患う妻を看取る初老の男性という役柄だった。

 4度のがんを克服した夫が妻を介護する実話で、「『あなたにしかこの役を演じることはできない』。監督は私にこう言いながら脚本を手渡してくれたんですよね」としみじみ振り返る。

 そのときのプロデューサーが、新作「歩き始める言葉たち」の野村展代監督。縁は続く。

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