【ぴいぷる】アーティスト・日比野克彦「世を救う学問こそ芸術」 18年継続する「明後日朝顔プロジェクト」を軸に兵庫・姫路で壮大アートを展示 (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ぴいぷる】アーティスト・日比野克彦「世を救う学問こそ芸術」 18年継続する「明後日朝顔プロジェクト」を軸に兵庫・姫路で壮大アートを展示 (1/2ページ)

 「明日(あした)と違って『明後日(あさって)』って、何かあやふやではっきりしないけど、必ずやってくるでしょう。不確かなんだけれど希望がある。そう信じてるんです」

 朝顔の種をまき、そこで育った種を別の土地にまく-。18年間続けてきた、この「明後日朝顔プロジェクト」は日本全国29地域へと広がった。

 目下、そのプロジェクトを軸にした美術史上でも「おそらく初の試み」を兵庫・姫路で進めている。種を介して人と人との関わりという“種”をまき、街と山と海をつなぐ壮大なアートだ。それに合わせ、姫路市立美術館で20日から「ザ・ミュージアム・コレクション・ミーツ・ヒビノ『展示室で会いましょう』」が開かれる。

 美術館学芸員と協働したコラボ展で、会場には40年以上かけて作った段ボールアートの作品群が、ところ狭しと並ぶ。

 さかのぼれば1982年、権威ある「日本グラフィック展」大賞を、東京芸大大学院生が段ボールをキャンバスに創作した作品で受賞し、美術界を騒がせた。

 「応募規定では平面に描かれた絵画のみ。果たして段ボールは平面と言えるのか? 審査はもめたようですね」と振り返る。

 「そのときはわずか1センチの厚みで大騒ぎしたのですが、翌年から、段ボールから5センチも飛び出した創作物など、立体としか呼べない応募作が急増したんです。審査員たちは私のせいにしましたよ」と苦笑する。

 「そもそも自分の中では創作において、平面と立体の間に垣根がない。絵画を描いた段ボールは平面ですが、それを折り曲げると立体になる。そして、またそれを戻すと平面になるのですから」

 一躍ポップアートの旗手になった。

 「原動力ですか? 芸術や創作は人の心を動かす力がある。それを伝えることですね」

 阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震…。災害が起こる度に現地へ駆けつけ、被災地の子供らとアート作品を合作する支援プロジェクトなどを手掛けてきた。

 コロナ禍、その思いはさらに強まった。

 「芸術は不要不急じゃない。そう強く言いたいですね」

 現在、芸大の美術学部長という肩書も持つ。

 「芸術は世の役に立つのか。こう嘆く学生の親御さんたちは少なくなかったのですが、将来、環境問題を解決し、世を救う学問こそが芸術なんです。学部長として強く訴えたい」

 そしてこう続けた。

 「明後日朝顔プロジェクトは、芸術を通じ、街と山と海をつなぐ環境全体を考える場。学生に『SDGs』(持続可能な開発目標)を考えてもらう教育の場にもなっているんです」

 芸術への道を進むきっかけはひょんなことからだった。

 「『なぜ躍るのか』。こう聞かれたダンサーが『自分を表現するため』と答えました。では、『なぜ自分を表現するのか』。こう聞かれたダンサーは『自分が生きていることを実感するため』と答えたんです。高校1年のときにテレビのインタビューで見た、このダンサーの答えに衝撃を受けました。以来、大好きなサッカーをやめ、芸大を目指したんです」

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