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《zak女の雄叫び お題は「味」》食べる幸せ、お腹が空く幸せ… (1/2ページ)

 今から1カ月前のこと。暑い暑いと思っていたら、急に寒くなり、体調を崩す人が続出した。もれなく私もその一人となった。だが、鼻水やのどの痛みといった風邪ではない。“胃腸風邪”といわれる症状で、何を口に入れても、お腹を崩してしまい、全く食べることができなくなってしまったのだ。

 これまで多少胃腸を壊すことはあっても、ここまでひどいのは初めて。普段、食べることが唯一の幸せといっても過言ではない身にとって、治るまでの約1週間は本当につらかった。人間、数日間食べなくても死ぬわけではない。水分補給さえしっかりしていれば大丈夫、と医師からは言われたが…。食べたいのに、不思議なほど食欲がわいてこない状態に焦り、「このまま食欲が回復しなかったら、生きている意味はあるのか」とまで思い詰めてしまった。

 食べたいものを食べられない人生とはなんと味気のないものか。当たり前にお腹が空くこと。食べたいものを食べること。それがどれだけ幸せなことなのかを改めて感じた。

 食の幸せといえば、田辺聖子さんの「春情蛸(しゅんじょうたこ)の足」(講談社)という短編集が思い浮かぶ。食にまつわるさまざまな物語が収められているのだが、食べ物一つ一つの描写がすばらしく、食べることのすばらしさを感じさせてくれるものだ。

 たとえば、すき焼きの後にご飯を入れる場面。頭の中にはその情景がはっきりと浮かび上がってくる。

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