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《zak女の雄叫び お題は「白」》誰が認知症か分からない!? 白黒付けない支援イベント「RUN伴(らんとも)」

 認知症支援のイベントなのに、誰が認知症で誰が支援者か分からない…。そんなユニークな全国イベント「RUN伴(らんとも)」を今年、初めて取材した。認知症の人や支援者らが北海道から沖縄までたすきをつなぎ、全国各地で走る。私も大阪で取材をしながら走ったが、そのスピードの速さに驚いた。みなさんも来年、参加してみてはいかがだろうか。

 「RUN伴」は平成23年、認知症の人とそうでない人が一緒にスポーツを楽しむイベントを作ろうと、北海道で始まった。少しずつゴール地点を南に伸ばし、25年に初めて大阪がゴールに。昨年は沖縄に到達し、今年は台湾にもエリアを拡大した。

 今年は7月、北海道・宗谷岬をスタートして徐々に南下し、11月に沖縄でゴールインした。公式ホームページによると、33都道府県で約1万4500人のランナーが参加し、このうち約1600人が認知症の当事者だったという。私が取材したときには認知症支援のシンボルカラーであるオレンジ色のものを身につけた支援者が沿道にけっこういたから、広い意味での参加者はもっと多いと思う。

 一番の特徴は、誰が認知症なのか、分からないことだろう。「認知症支援」と身構えるのではなく、一緒に走って言葉を交わした人が、たまたま認知症だった。そんな“白黒付けない”出会いは、「認知症はこわい」「接したことがない」といった距離感を一気に取り去ってしまう。

 実際に、私が話を聞いた認知症の男性(66)は、話しているとアルツハイマー病とは思えないほどだった。仲間と肩を組んだりしながら笑顔で走り、信号で止まったときには、連絡役のスタッフを気遣ったり、疲れた表情の人を励ましたり。「物忘れはあっても、普通に暮らしていることを多くの人に知ってほしい」とのこの男性のメッセージに、大きくうなずいた。

 このイベントに参加している人は、認知症であっても初期の人が多かった。認知症には、初期だからこその悩みが多い。認知症と診断されたショックや葛藤から、家に引きこもってしまったり、人に会うのを避けたりしている人も少なくないという。

 「RUN伴」は、そんな人たちが、外に出るきっかけにもなる。言葉を交わさなくても、同じ目的地に向かって一緒に走る。そのときの連帯感と、みんなでゴールした達成感は、その後、街に出るときのハードルを下げてくれそうだ。

 例年、5月ごろにその年のイベントの概要が決定し、6月ごろ、北海道から順に参加申し込みの受け付けが始まる。一緒に走らなくても、オレンジ色の公式Tシャツを買ったり、手持ちのオレンジ色のものを身につけて沿道やゴール地点で応援したりするという参加の仕方もある。私自身の失敗から、走る場合は、履き慣れたスニーカーを強くおすすめします。(K)

 大阪の生活記者、41歳。

 【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。12月のお題は「白」です。

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