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《zak女の雄叫び お題は「輪」》認知症サポーターの証「オレンジリング」

 みなさん、「オレンジリング」をご存じでしょうか。その名の通り、オレンジ色の輪。直径約7センチで、腕に付けるとちょうどいい。全国で開催されている「認知症サポーター養成講座」を受講すると、認知症サポーターの認定の証としてもらえる。

 昨年から認知症の取材をすることが増え、養成講座を受けたいと思っていた。取材で認知症についてはかなり勉強したが、地域の生活者としての視点からも、いろいろ知りたい。

 そのチャンスがこの1月、ようやく来た。近くで講座が開催されるというので、会社を半日休んで会場へ。受講生は30~60代の女性が約40人、講師は特別養護老人ホームの管理者の女性。高齢化の将来予測などが示され、認知症になっても安心して暮らせる地域をつくるために、認知症に対する正しい理解や偏見が不可欠と説明してくれた。

 いろいろ勉強になったが、一番心に残ったのは、最後に上映された宅配すし「銀のさら」の過去のコマーシャルだ。「母と子篇」とされるそのコマーシャルには、認知症の高齢の女性と同居する息子、嫁、孫が登場する。女性はおそらく30年以上前の時代を生きていて、目の前にいる大人の男性が、自分の息子であるとは分からない。「さとしは体が弱くてね…。あの子が元気でいてさえくれたら、私は何もいらないんですよ」とつぶやく。

 そんなおばあちゃんに、孫はやさしく語りかけるのだ。「さとし君は、元気な大人になるよ。優しくて、強くてさ。僕、知ってるんだ」

 認知症の人とのコミュニケーションのポイントは、「今の気持ちを受け止めること」だという。驚かせない、急がせない、自尊心を傷つけない、そして何よりも、否定しないことが大切だ。

 たとえば認知症の人は、食事をした直後なのに食べたことを忘れてしまい、「食べてない、ご飯まだ?」ということがよくある。食べ終わったお皿を見せて「食べましたよ、これが証拠です」と説明する手もあるが、これは本人の「食べていない」という思いを否定することになる。かといって、要求されるがままに、何度も食事を出すことはできない。「今作ってますから、ちょっと待ってくださいね」という感じで気をそらせる方がよいのだという。

 先のコマーシャルのいいところは、孫がおばあちゃんの世界観を否定せず、寄り添っているところだ。「さとしってパパのことでしょ、ほら、ここにいるよ」なんて言われたら、女性は「そんなはずはない」と憤慨してしまうだろう。否定されたりばかにされたりしたという嫌な感情が重なれば、症状が悪化することもあるという。

 オレンジリングをもらってから半月、通勤用のバッグにつけているが、まだ何かの役に立てた経験はない。認知症サポーターの数は、昨年末時点で約983万5千人。まだの人はぜひ、講座を受けてみてはどうだろうか。(K)

 大阪の生活記者、41歳。銀のさらのコマーシャルを見ながら、涙をこらえるのが大変でした。

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。2月のお題は「輪」です。

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