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【人気急上昇!よくわかる専門外来】患者は全国から…日本初の「しびれ外来」 最新機器で原因を追求、悩める患者の最後の砦

★(3)のじ脳神経外科・しびれクリニック 野地雅人医師

 2006年に、日本初の「しびれ外来」を開設したのは神奈川県立足柄上病院。この専門外来を担当していたのが野地雅人医師で、専門は脳神経外科だ。野地医師は昨年、同県厚木市内に「しびれ外来」に特化した「のじ脳神経外科・しびれクリニック」を開業した。

 「しびれに悩む人の多さを痛感しています。毎日新患だけでも10人以上が受診する。開業以来ヒマな日はありません」と話す。しびれを伴う疾患は多岐にわたる。最も多いのは多発性神経障害(末梢神経障害)で、手足の指先などにしびれが出る。70代以上の高齢者に多い。

 他にも、腰部脊柱管狭窄症や、変形性頚椎症、糖尿病性神経障害、あるいは手根管症候群や胸郭出口症候群などが原因で起きるしびれもある。

 症状の出方も人それぞれだ。

 「足のしびれに関して言えばピリピリ、ジンジン、ズーンとするといったものもあれば、砂利を踏んでいるような感じとか、紙が貼り付いたような感覚などさまざま。しびれる部位や症状の出方から原因を探っていき、関係しそうな場所を詳しく調べて診断をつけていきます」

 クリニックでは、診療所としては珍しい「3T(テスラ)」という高解像度のMRIを導入し、原因個所を詳細に追求していく。専門外来ならではのこだわりだ。

 骨の変性で神経が圧迫されて起きるしびれの場合は手術も選択肢。専門の医師に紹介したり、野地医師自身が手術設備を持つ病院に出向いて執刀することもある。

 ただ、しびれは、痛みと違って、見た目の原因を取り除いたからと言ってきれいに治まるものではないという。

 「神経がどの程度の損傷を受けていたかによって回復の仕方も違ってくる。元の損傷が激しいと、神経が完全に再生されず、しびれが残ることもあるし、動脈硬化が進んでいる人は末梢血管からの神経への栄養補給が低下してしびれが悪化することもある。この場合は内科的な対応で改善を図っていく必要があります」

 使われる薬はビタミンB12や血流改善剤、神経性疼痛治療薬の他、漢方薬や抗鬱薬、向精神薬などを処方することもある。

 「しびれと神経は意外に相関性が高い。脳が常にしびれを感じていると、症状が増強してしまうのです。しびれが長引くことで、鬱症状を発症するケースもあります」。それだけに診断には慎重さが求められる。

 野地医師の元には全国から患者がやって来るが、「今朝からしびれている」という人は少ないという。多くは「月」や「年」という単位でしびれに悩まされた人たちだ。いくつもの医療機関にかかったが改善せず、最後にたどり着いたのがこの「しびれ外来」というケースが圧倒的に多いという。

 背景には、しびれという症状に興味を持つ医師の少なさがある。「しびれ」よりは「痛み」を優先し、痛みさえ取れたらしびれが残っても仕方ない-という考えの医師が意外に多いのだ。

 しかし、訪れる患者の悩みは大きい。普通に歩くこともままならず、外出ができなくなる人も。

 「しびれ外来は、言ってみれば隙間産業のような存在ですが、ニーズの大きさはこのクリニックが証明している。治療によって改善するしびれもあるので多くの医師に興味を持ってもらい、全国に受け皿ができることに期待しています」

 野地医師の期待は、患者の望みでもあるのだ。(長田昭二)

 ■近くに「しびれ外来」がない時は… 脳神経外科か神経内科、総合診療科、整形外科を受診し、しびれに詳しい医師を紹介してもらうといい。また、糖尿病性神経障害によるしびれは厳密な血糖のコントロールや専門薬で改善する可能性があるのでそのことを主治医に強く訴える。放置や我慢は厳禁だ。

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