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つらい痛みとの向き合い方 重要なのは「悪循環」を早く断ち切ること

 中年ともなれば、誰しも肩や腰など何らかの痛みに悩まされた経験があることだろう。今回紹介するのは、つらい痛みとの向き合い方を教えてくれる一冊。

 「生きている限り、心身の痛みは大なり小なり誰もが経験するものであり、痛みは生きている証拠。大切なのは、その痛みの原因を明らかにし、痛みをどうコントロールするかなのです」

 冒頭で痛みに対する考え方をそう提示しているのは、『痛みをやわらげる科学 新装版』(SBクリエイティブ)。著者は、ペインクリニックや麻酔学を専門とする医師で、新潟大学名誉教授の下地恒毅氏だ。本書には、科学的事実とともに下地氏の50年以上にわたる臨床経験から得た考えが綴られている。

 まず、痛みを感じるメカニズムを紹介するとともに、痛みが及ぼす心身への影響について解説。痛みによる刺激は、脳の視床下部の自律神経に作用し、交感神経を緊張させて血流を低下させ、心臓や血管、消化管などの機能障害を引き起こす。

 また、血流が悪くなると筋肉が硬直するため、頭痛や肩こり、腰痛など慢性の痛みにつながり、その痛みがストレスになってさらに交感神経の緊張をもたらすという悪循環を形成するそうだ。

 また、痛みは心の健康とも密接な関係がある。不快な状態が続くと大脳全体にその刺激が伝わり、うつ症状の原因になるという。慢性の痛みを持っている人はなんらかのうつ症状があり、またうつ症状は慢性の痛みを憎悪するという調査結果もあるそうだ。

 さらに興味深いことに、「痛みは記憶される」という。痛みが持続すると痛みを伝える末梢神経の受容体に変化が起き、それによって脊髄や脳の中で神経のネットワークが再編成されてしまう。つまり、痛みが長く続くほど、身体機能が正常に戻りにくくなるということ。痛みがもたらす悪循環を早めに断ち切ることが重要になる。

 本書では、頭、腰、膝脚、腹など身体のさまざまな部位の痛みのメカニズムとそれぞれの対処法について詳細に解説している。対処法も、自分でできるものから病院で行われている最新の治療法まで幅広く紹介。巻末の「自分でできる痛みの治療・予防法15カ条」では、鎮痛薬に対する考え方にも言及する。鎮痛薬の中には、消化管への副作用があるものも多いため、副作用の少ない薬を使用し、長期間服用している場合は約3カ月ごとに血液の生化学検査を受けることを推奨。薬の副作用や全身の健康チェックにもなるという。

 「痛みの原因を知って予防法を学び、最新治療の知識まで身につけておけば、つらい痛みとも上手に付き合っていけるはず。人生100年時代の必須教養として、ご一読いただけたら幸いです」と話すのは、SBクリエイティブの出井貴完氏。オールカラーで、図表や写真をふんだんに掲載。表現がやさしく読みやすい。(井田峰穂)

 ■自分でできる痛みの治療・予防法15カ条

 (1)座禅やヨガなどで、身体に備わっている「痛みを抑えるメカニズム」を活性化する。

 (2)筋肉を鍛える

 (3)身体を温める

 (4)筋肉の緊張をほぐす

 (5)仕事を焦らずなしとげる

 (6)楽しいことをする

 (7)アルコールは控えめに、タバコはご法度

 (8)睡眠を十分にとる

 (9)すべてはほどほどに

 (10)食事の量は控えめに

 (11)痛みの治療は早めに

 (12)鎮痛薬は控えめに

 (13)痛みに慣れる

 (14)腹式呼吸をする

 (15)生活のリズムを大切にする

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