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【どこまで分かる その検査】痛みを“客観的”に数値化、慢性疼痛の治療に一役「ペインビジョン」

 体の痛みの程度を測るツールとして、一般的に用いられている「ペインスケール」という評価方法がある。いくつか種類があるが、たとえばまったく痛みがないレベルを「0」、イメージできる最大の痛みを「10」として、いま感じている痛みの強さを数値で表現する。

 しかし、この評価法には「意図的に線を引くことも可能」であることや「複数症例の値の比較ができない」などの欠点がある。そこで痛みの程度(痛み度)を数値化する検査機器として開発されたのが「ペインビジョン」(知覚・痛覚定量分析装置)だ。痛みを客観的に評価する重要性を「東京リウマチ・ペインクリニック」(東京都中央区)の岡寛院長はこう話す。

 「慢性疼痛(とうつう)の治療で最も大切なのは、まず患者さんと医師が痛みの程度を共有することです。それが適切に行われていないために、痛みの原因をメンタルの病気と診断されてしまう患者さんがたくさんいます」

 慢性疼痛の原因には、帯状疱疹(ほうしん)後神経痛、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、脳卒中後遺症、線維筋痛症、関節リウマチ、慢性腰痛症などがある。痛み度を測ると病気の鑑別にも役立つという。また、治療効果も数値の変化で分かるので、患者が前向きに治療を続ける後押しにもなる。

 ペインビジョンの機器には、電極ケーブルとハンドスイッチが付いている。検査手順は、患者の前腕内側(肘下)に電極を2カ所貼り付け、ハンドスイッチを手に持ってもらう=写真。準備できたら機器のスタートボタンを押す。すると痛みを伴わないパルス状電流が流れるので、はじめて電流(異種感覚)を感じたら停止スイッチを押す。これを3回繰り返し、「最小感知電流値(閾値=いきち)」を測る。

 続いて電流を徐々に増大させ、現在感じている最大の痛みの強さと同程度の感覚になったときに停止スイッチを押す。これも3回繰り返し、「痛み対応電流値」を出す。検査時間は5分ほどだ。

 「痛み度は、閾値と対応電流値を計算式に当てはめ自動算出されます。閾値は年齢が高くなるほど鈍るので、年相応の健常者平均値と比較して見ることができます。これによって、どれくらいの閾値で、どれくらいの強さの痛みがあるのか定量化できるのです」

 閾値も対応電流値も3回押して調べているので、いいかげんに押すとバラツキが出るのですぐ分かるという。

 痛みは体の異常を知らせるサインであるが、極めて主観的で個人的なもの。主治医に痛みを訴えても理解してもらえないようなら、ペインビジョンで客観的データを出してもらうといい。(新井貴)

 【検査費用は?】保険診療では検査料と判断料で3800円(3割負担で1140円)。他に診察費など別途必要。

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