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【雇用延長時代を生きる健康術】「がんロコモ」でも…運動器治療で“生活の質”向上は可能!

 「がん」と診断された際に、その後の足腰など運動器の障害が、治療や仕事の障壁になることがあるから注意が必要だ。

 「がん診療では、『パフォーマンス・ステータス(PS)』が重視されます=表参照。がん患者さんの全身状態の指標で、日常生活制限を0から4のスコアで示し、がん治療の適用を決定する重要な要素としています。PS3以上では治療の適用にならないこともあります」

 こう説明するのは、帝京大学医学部附属病院の河野博隆副院長(整形外科学講座主任教授)。河野副院長が力を入れるロコモティブシンドロームは、「運動機能の障害により移動機能が低下した状態」で、がんと診断された後に、運動機能の障害により移動機能が低下するのが「がんロコモ」だ。

 「PS3は、限られた自分の身の回りのことしかできず、日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす状態です。腰や膝に痛みを抱えていると見かけ上はPS3になることがあります。がん診療医は、PS3の患者さんに対し、がん治療をすべきかどうか戸惑うことがあるのです」

 パフォーマンス・ステータスでは、がん以外が原因の日常生活制限は、一次的なものであれば除外されることになっている。だが、運動器の専門医でないとわからない場合がある。一見するとPS3を理由に抗がん剤治療はできないと判断されてしまう人もいる。こうしたときに、運動器の専門医が診断・治療を行うことで、がん治療も受けられるようになるケースは珍しくないそうだ。

 「大きな問題として、国内ではがんと診断された患者さんを整形外科医が診ないケースが多いということです。もちろん、がん診療医も整形外科医との連携が乏しい。この状況を私たちは変えたいと思っています」

 2人に1人はがんになるといわれる時代。日頃からがん予防や早期発見・早期治療は大切だが、足腰を鍛えて「ロコモ」を退けておくことも重要だ。運動不足を解消し、関節の痛みなどには適切に対処する。そして「がん」と診断された後に、膝や腰などの痛みがあったときには、整形外科医に気軽に相談できる環境も必要である。

 「適切な運動器の治療で歩けるようになれば、QOL(生活の質)を向上させることができます。薬の治療でがんと共存できる時代には運動器を守りつつ、いつまでも動けるように『がんロコモ』対策の大切さについて、多くの方に知っていただきたい」と河野副院長は話す。(安達純子)

 ●パフォーマンス・ステータス

 0…まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える

 1…肉体的に激しい活動は制限されるが歩行可能で、軽作業や座っての作業は行える

 2…歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす

 3…限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす

 4…まったく動けない。身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす

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