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【ここまで進んだ最新治療】「椎間板ヘルニア」治療法に新たな選択肢 保険適用の注射薬「ヘルニコア」

 腰痛や脚の痛みを引き起こす「椎間板ヘルニア」の治療法に新たな選択肢が加わった。昨年8月に保険適用になったのは、椎間板内酵素注入療法に使用する「ヘルニコア」という注射薬。これを痛みの原因になっている背骨に注入して治療する。

 これまで治療は、消炎鎮痛薬、コルセット、神経ブロック(麻酔注射)などの保存療法を行い、それでも症状が改善しなければ手術が検討されていた。椎間板内酵素注入療法は、保存療法で十分な改善が得られない場合の選択肢となる。

 ヘルニコアは、どんな作用をする薬なのか。慶應義塾大学病院・整形外科の渡辺航太准教授が説明する。

 「背骨は椎骨という骨が積み重なってできています。椎骨と椎骨の間でクッションの役割をしているのが椎間板です。椎間板の周囲はコラーゲン線維(線維輪)で囲まれ、中心にはゼリー状の髄核があります。椎間板ヘルニアは、何らかの原因で線維輪に亀裂が入り、髄核が飛び出して神経を圧迫している状態です。その髄核内にヘルニコアを注入すると、髄核が縮小して神経への圧迫がとれるのです」

 通常、髄核には保水成分が豊富にあり、水分を多く含んで膨らんだ状態にある。ヘルニコアの有効成分であるコンドリアーゼは、髄核の保水成分を分解する酵素。それによって保水成分が分解されると、髄核の水分が減り、髄核の膨らみが縮小するという仕組みだ。

 椎間板内酵素注入療法は、レントゲン透視下で椎間板を確認しながら行う。針を刺す位置を消毒し、局所麻酔をする。そして髄核が飛び出したヘルニアの部分にヘルニコア(1cc)を注射する。30分以内には終了するが、一過性の腰痛や下肢痛、発疹などの副作用が出る可能性があるので、1泊2日の入院で行われるケースが多いという。ただし、すべての椎間板ヘルニアに適応されるわけではない。対象となるのは、髄核が背骨の外を覆っている後縦靭帯を破って飛び出していない、治りにくいタイプのヘルニアだ。

 「治療後2~4週間かけて症状が徐々に良くなり、3カ月くらいまで改善していきます。臨床試験の成績では、痛みの評価スケールで50%以上の改善を有効例とした場合、7~8割の人は効果があるとされています。当院の有効率は82%です」

 椎間板内酵素注入療法は異物を体内に入れるのでアレルギーを避けるため、治療が受けられるのは一度限り。治療後も改善されず、結局、手術が必要になる割合は、同院の過去72例でみた場合で4例という。

 「保存療法をして4~6週間待っても改善しなければ、基本的には手術の適応になります。椎間板内酵素注入療法は注射1本だけなので、手術の前の選択肢として試してみる価値はあると思います」(新井貴)

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