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【ここまで進んだ最新治療】慢性腰痛治療の新しい武器「サインバルタ」 抗うつ薬の一種だが“脊髄”に効く薬

 慢性腰痛の治療方法が変わりつつある。これまで薬物療法の第一選択薬として推奨されていたのは「非ステロイド性抗炎症薬(エヌセイズ)」と「アセトアミノフェン」だった。それが今年5月発表の最新版「腰痛診療ガイドライン2019」では、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)」と「弱オピオイド(麻薬性鎮痛薬)」が第一選択薬になったのだ。

 注目されるのは、抗うつ薬の一種のSNRIが第一選択薬になったこと。それは2016年に慢性腰痛に対して適応が追加された「サインバルタ(商品名)」という薬のことを指す。どのような作用があるのか。山田記念病院・整形外科(東京都墨田区)の長谷川伸医師が説明する。

 「エヌセイズは痛み物質の産生を抑制する『局所に効く薬』です。一方、サインバルタは抗うつ薬ですが、うつ症状の改善とは異なるメカニズムで鎮痛効果を発揮します。痛みを抑える脊髄の中枢神経の働きを強める『脊髄に効く薬』なのです」

 サインバルタが慢性腰痛に保険適用になって3年経過、その効果が認められて第一選択薬として推奨されるようになったわけだ。一般的には5割から8割の人に著しく効くとされているが、長谷川医師の印象では、よく効く人が5割、あまり改善しない人が3割、2割くらいの人が副作用で継続できないという。

 副作用は「眠気」や「気持ち悪くなる」などで、約25%の人に生じる。そのため飲み方が大切になる。通常、1日1錠(20ミリグラム)から開始し、1週間ごとに1錠ずつ増量し、3週目からは3錠を内服する。最初の1週間のうちに副作用が出るようなら内服を1日おきにする。この飲み方で1~2週間様子を見て、増量していけば継続できる人も多いという。

 「慢性腰痛の中には、脊柱管狭窄症の症状の1つの『足裏の違和感』を伴う患者さんがいます。従来では、この症状はたとえ手術で腰痛が治っても一生取れないお手上げの症状でした。しかし、サインバルタは足裏の違和感にも効果があるという報告があります」

 また、慢性腰痛にはお尻から脚の後ろ側にかけて痛みやシビレが出る「坐骨神経痛」を伴う人も多い。座骨神経痛に対しては第一選択薬が異なる。最新のガイドラインでは「エヌセイズ」「リリカ」「サインバルタ」を推奨している。リリカは神経障害性疼痛の治療薬で、坐骨神経痛を伴う慢性腰痛に併用されることが多い。今年2月に同じ作用の「タリージェ」という薬が保険適用になったが、リリカと何が違うのか。

 「リリカが中枢神経と末梢神経の神経障害性疼痛の薬であるのに対して、タリージェは末梢神経に限られた薬です。同様に坐骨神経痛は適応ですが、効果の程度は今後のデータが望まれます」(新井貴)

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