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落語家・柳家三壽「がん生活」11年間の軌跡 標準治療受けずに「がんと生きる5カ条」実践

 現在、がんの標準治療とされるのは手術、抗がん剤、放射線。しかし、そのどれも受けることなく、宣告から11年経った今も高座に上がり続けている落語家がいる。

 落語家の柳家三壽(さんじゅ)さんが前立腺がんの宣告を受けたのは62歳の時。それから73歳の現在まで、手術の勧めを断り、抗がん剤も放射線治療も受けていない。

 その代わり、自己流の食事療法を続けた結果、がんは治ってはいないものの進行もしていないという。三壽さんが実践した内容と11年の軌跡をまとめたのが『落語家、医者に頼らずがんと生きる』(祥伝社)である。

 宣告を受けたとき、がんは前立腺の内部に留まっている限局がんで、悪性度は1~5のうち悪い方から2番目の4だった。手術で取れるレベルだったが、三壽さんは手術や放射線治療の勧めを断り、「しばらく様子を見たい」と申し出る。標準治療をどこか疑う気持ちがあったからだ。この時のことを「場当たり的に手術をして治って満足していたら、一時は生還できたとしても、それほど長くないと思った」と振り返っている。

 がんが見つかる前から前立腺肥大の症状があり、治療薬を飲みながらも、暴飲暴食や1日30本のたばこをやめなかったという三壽さん。しかし、がん宣告を受け「これを機に生き方を変えよう」と決意し、禁酒禁煙に成功。さらに、食事療法で肺がんから生還した友人の話を参考に、「マクロビオティック」(以下、マクロビ)に取り組むことにしたのだ。

 マクロビは、穀物と野菜を基本とする食事法。各食材には、陰陽の性質があると考え、肉、魚、貝などの動物性食品や、牛乳や卵などの乳製品、カレー、コーヒーなどの刺激物は控えつつ、バランスのとれた中庸な状態を目指す。

 三壽さんは専門家の指導を受け、マクロビの原理や実践の仕方を学び、土鍋で玄米を炊く生活をスタート。同時に「がんと生きる5カ条」を自分に課すことを決めた。

 玄米や野菜は無農薬の有機栽培のものを使用。毎日の食事は、土鍋で炊いた玄米と、大根、ニンジン、小松菜、春菊などを使ったみそ汁、梅干しと三年番茶(天日に干し3年間熟成させてカフェインを飛ばした番茶)が基本。これに海藻の酢の物やかぼちゃの煮物などが加わることもある。

 マクロビと「5カ条」を実践するうちに以前悩まされていた頭痛やめまい、疲労感などの症状も消え、免疫力がアップしていることを実感。経過観察のために定期的に訪れている病院では、数値の改善に驚いた医師らが三壽さんの本名を冠して「鈴木システム」と呼んでいるほどだという。

 「どのように不安と折り合いをつけたのか、何が心の支えになったのか、医師とどう付き合えばよいのかなど、がんと共存していくうえでの心構えも参考になる1冊です」(編集を担当した祥伝社の名波十夢さん)

 かなりストイックな生活を送る三壽さんだが、誘惑に負けてお菓子を食べてしまったことも。失敗談さえも落語家ならではのユーモラスな語り口で明かしており、読み物としても楽しめる。(井田峰穂)

 ■がんとともに生きる5カ条
 (1)玄米は100~200回噛むこと
 (2)常に身体を温めること
 (3)何事も前向きに、目標を持って生きること
 (4)笑って生きる。楽しいことをすること
 (5)ストレスを排除すること

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