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【雇用延長時代を生きる健康術】毎日60分以上歩くと、うつ発症リスク“3割減”に! まずは10分からでも

 仕事に適度なストレスは必要だが、度を過ぎると気分が落ち込み、うつ(鬱)へとつながる恐れがある。うつ予防には運動が役立つ。国内の企業健診受診者約2万9000人のデータを解析し5年間追跡した研究で、その可能性が示された。

 「2010年以降、世界的に運動とうつに関する科学的な検証報告が増えています。運動習慣は肉体的な健康維持に役立ちますが、メンタルヘルスにも寄与すると考えられます。国内では、科学的な検証が少なかったため、7年分の大規模な健康・医療データで検証しました」

 こう話すのは、帝京大学大学院公衆衛生学研究科の桑原恵介講師。先の研究論文を英科学誌で15年に掲載するなど、うつと運動などの研究を進めている。

 この研究では、運動強度のメッツ(身体活動の強さの単位)と運動時間を掛け合わせ求めた運動量ごとの抑うつ症状リスクを調査した。

 全く運動しない群のリスクを「1」とし、(1)1週間に3・75メッツ・時(※メッツ・時=運動活動量の単位)未満の群は抑うつ症状発症のリスクが「0・9」、3・75メッツ・時以上7・5メッツ・時未満は「0・84」、7・5メッツ・時以上16・5メッツ・時未満は「0・82」、16・5メッツ・時以上25・5メッツ・時未満は「0・72」。

 つまり、運動をすればするほどうつ発症リスクは下がった。ただし、25・5メッツ・時以上になると、リスクの低下は弱まり「0・8」に。25・5メッツ・時未満の運動が役立つ。厚労省の「健康づくりのための身体活動基準2013」が勧める週23メッツ・時以上の目安は、毎日60分以上歩くこと。それだけで、うつ発症リスクが約3割減る可能性がある。

 「今回の研究では、研究スタート時点の抑うつ状態を調整した解析も行いました。運動している人は、もともとメンタルヘルスがよい傾向にあるため、運動習慣のない人と同程度のメンタル状態になるよう調整が必要でした。その結果でも、16・5メッツ・時以上25メッツ・時未満/週の群、抑うつ症状発症リスクが最も低かったのです」

 運動習慣がなくて、いきなり毎日60分以上歩くのは難しい人もいるだろう。膝や腰痛などの故障にもつながりかねない。

 「疫学研究で健診データを分析してみると、運動習慣なしと答える人は多い。いきなり高い目標値を目指すよりかは、まずは5分でも10分でも良いので、体を動かしてみるところから始めてみてください」

 体を1日10分動かすのなら通勤中の歩行で実現できる-と考える人もいるだろう。だが、メンタルヘルスの研究では、通勤中の歩行時間については関連性が見られないとしている。

 「メンタルヘルスでは、気晴らし的な要素が必要だと思います。週末だけ楽しく動くことでも役立つと考えられます」

 体を軽く動かすことから徐々に始めよう。(安達純子)

 ■メッツとは…安静時を1とした活動の強度を示した単位。普通歩行3メッツは、安静時の3倍の運動強度を示す。早歩きは4メッツ、ジョギング7メッツ、ランニング8メッツなど。

 厚労省の基準は、強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週。具体的には歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行う。65歳以上の身体活動(生活活動・運動)の基準は、強度を問わず、身体活動を10メッツ・時/週。具体的には、横になったり座ったり以外のどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行うことだ。

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