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【ここまで進んだ最新治療】進化する脊椎疾患の内視鏡下手術「FESS」 切開は1センチ弱、痛み軽く2泊3日で退院

 椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの脊椎疾患(腰痛)の内視鏡下手術が進化を遂げている。

 従来の切開手術は背中を5~8センチ切開するので、1~2週間くらいの入院が必要だった。それが椎間板ヘルニアには「MED(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)」、脊柱管狭窄症には「MEL(内視鏡下腰椎椎弓切除術)」という内視鏡を用いた手術が導入され、手術の傷口は2センチ弱(1カ所)、入院5~6日という低侵襲手術が可能になった。

 そして最近では、さらに低侵襲の「FESS(完全内視鏡下脊椎手術)」という手術が行われている。岩井整形外科内科病院(東京都江戸川区)に隣接するFESSに特化した診療施設「岩井FESSクリニック」の古閑比佐志院長が説明する。

 「従来のMEDやMELは直径16ミリの内視鏡を使って手術します。FESSは、直径7ミリの微小内視鏡を使用して行う最小侵襲手術のことをいいます。ですから手術で切開する傷口は1センチ弱と、従来の内視鏡下手術の半分で済みます。筋肉や骨を痛める範囲を極小にしながら手術できるので、術後の痛みは非常に軽く、前日入院して2泊3日で退院できます」

 FESSは、もともと椎間板ヘルニアだけに行われていた「PELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)」という手術と、使う機器やアプローチの仕方はほとんど変わらない。それが術者の技術向上や手術道具の進歩により、椎間板ヘルニアだけでなく幅広い脊椎疾患の手術に適応できるようになったという。

 対応疾患は、「腰椎椎間板ヘルニア」をはじめ、「腰椎外側陥凹(かんおう)狭窄」や「腰椎椎間孔狭窄」といった腰部脊柱管狭窄症(固定術などを併用しない複雑でない症例)。さらに「頚椎症性神経根症」や「頚椎椎間板ヘルニアの一部」といった首の治療も可能となっている。

 FESSは慣れた術者が行えば、正味の手術時間は平均30~40分ほど。ただし、腰部脊柱管狭窄症の場合は直径10ミリの内視鏡を使い、ドリルで骨を削る必要があるので1時間ほどかかる。首の手術の場合は、入院期間が3泊4日になるという。

 「FESSは患者さんにとっては非常に低侵襲ですが、医師側からすれば極めて高度な手技が求められる術式です。いまはまだ実施している医療機関は少数ですが、それぞれの施設や関連学会で若手医師の教育に注力していますので、今後は急速に普及すると思います。治療効果は、従来のMEDやMELに劣らないと感じています」

 もちろんFESSは公的保険で受けられる。他の内視鏡下手術と同じで、持病などで全身麻酔が耐えられない状態でなければ、年齢制限などはないという。(新井貴)

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