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【続々・長生きは本当に幸せか】がんと「余命宣告」の最新事情 高齢者の治療ポイントは…安易に手術をしないこと

 かつてがんは「不治の病」とされ、宣告はためらわれました。それが、宣告されるようになり、「闘う病」となり、やがて「共に生きる病」となり、最近では「がんで死ぬのは幸せ」と言われるまでになったのですから、時代は変わったものです。

 では、がんで死ぬのは本当に幸せなのでしょうか?

 具体的に言われていることは、2つです。1つは、最近は緩和治療が進んで、末期の痛みに苦しまなくてもよくなったこと。ほかの疾患で死ぬよりも苦痛が少ないということです。もう1つは、余命がある程度わかるので、その間に人生の整理ができ、死への心構えもできるというのです。

 たしかに昔に比べ、がんは苦しんで死ぬ病ではなくなりました。末期で余命宣告を受けた患者さんがいちばん気にするのが、「最期は苦しみますか?」ということです。

 これに対する答えは、がんの部位によります。たとえば、すい臓がんが骨転移をした場合は、腰部が激しい痛みに襲われます。腰椎周辺には太い神経があり、がんがそれを圧迫するからです。

 肝臓がんも痛みが激しいがんといえます。末期になると患者は体をのけぞらせて痛がるといいます。肺がんも痛みがきついとされます。肺全体に転移していくので、息苦しさに苦しむ患者さんが多いのです。とはいえ、がんの痛みは、年齢によって異なり、年をとればとるほど穏やかになるといいます。

 このようながんに比べ、心肺の疾患は、痛みが激しいとされます。たとえば、最近の死因の第3位、年間約12万人が亡くなっている肺炎は、高熱にうなされ、呼吸が困難となり、苦しみのうちに意識もうろうとなって死んでいきます。

 心不全もまた苦しみがきついとされます。心臓の機能が低下して全身に十分な血液を送り出せなくなると、最終的に肺の血流が悪化して肺水腫を併発します。そうなると、苦しみが待っています。急性心筋梗塞も、強烈な痛みが胸に走り、患者はもがき苦しみながら死んでいくとされます。私は、かつて心動脈バイパス手術を受けたので、心肺疾患の前兆となる痛みを経験しています。

 前記したように、がんは末期になると、「余命宣告」されます。最初はおおざっぱに1年、2年などと言われますが、そうなったら、自宅に帰ったり、家族、友人と最期の時期をすごしたりすることができます。

 余命宣告に、確かなルールはありません。医者はだいたい生存期間の「中央値」を言います。中央値というのは、その病気集団、つまり同じような胃がんなら胃がんの患者集団において、「50%の患者が亡くなるまで」の期間のことです。つまり、同じ胃がん患者が100人いた場合、50人目が亡くなった時点が患者の余命となります。したがって、中央値が1年だとしても、3年、5年と生きる人が一定数いるわけです。

 最終的な余命宣告は、本当の終末期になったときです。「持ってあと3カ月」などと、宣告されます。この場合は、もう治療法はないので、あとは緩和ケアのみとなります。延命治療(人工呼吸、透析など)を拒否して、穏やかに死んでいきたいものです。

 高齢者のがん治療で最大のポイントは、安易に手術をしないことです。手術がかえって死期を早めることがあります。

 また、手術をしたなら、できるだけ早く、体を動かすことです。1カ月もベッドに横になったままだと、関節が拘縮し、全身の筋肉が減少するだけでなく、心肺機能まで衰えます。そうなると、寝たきりになってしまい、なにもできないまま死期を迎えることになります。(富家孝)

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